京都大学アカデミックデイ2014

言語多様性vs.生物多様性

研究者からの一言:消滅の危機に瀕する言語を知っていますか?

生物多様性の重要性はよく語られている一方、言語多様性の重要性はあまり知られていません。世界の言語の多様な語形、語順、発音、話者の価値観や自然との共存、文化・自 然・社会背景を紹介しながら、「科学として言語を研究することで解明されることは何か」を一緒に考えます。

出展代表者

白眉センター/東南アジア研究所
 西本 希呼 特定助教

参加者

白眉センター/東南アジア研究所
 西本 希呼 特定助教

関連URL

http://www.cseas.kyoto-u.ac.jp/2013/03/noa_nishimoto/

来場者より

興味をひくで賞
面白かったで賞
研究のウラ話を赤裸々に話してくれたで賞
服がとてもかわいかったで賞
まさか虫を食べれるなんて賞
虫におどろいたで賞
マダガスカルに興味が出たで賞

アカデミックデイを経ての感想

今回のポスターでは、アフリカ、東南アジア、ポリネシアの諸地域のいくつかの国を取り上げ、植物の薬物利用や、日用品・民芸品の素材 としての利用、数や空間認識としての自然利用を紹介しました。

子どもから大人まで、「ことば」に関心のある人、「生物」に関心のある 人と、理系研究者、文系研究者と、期待通り、多方面から参加いただきました。

参加者の皆様からのコメントに、さらなる研究のヒントを得ました。

一般社会に研究内容を知ってもらう良い機会となり、他の分野の研究者や訪問者との交流はとても生き生きとした有意義な一日で、朝9時から16時と長時間のポスター展示・発表があっという間でした。

西本希呼

フォトギャラリー

研究者の本棚

本出展の参加研究者がお勧めする本をご紹介。

今の仕事(研究、進路)を選ぶきっかけになった本

ブワナ・トシの歌―東アフリカの湖と村びとたち

片寄俊秀著 / 社会思想社

アフリカに興味を持ち始めた頃、この本をきっかけに、アフリカへの現地調査(フィールドワーク)への憧れをもつようになりました。フィールドワーカーが直面する、四苦八苦や、苦労・感動の物語が描かれています。

取り扱い: 京都大学図書館/ 京都府立図書館

にほんご

安野光雅編 / 福音館書店

幼稚園の頃、この本を手に取り、多様な世界の文字と言語、世界の民族、日本手話、点字、識字の普及などを知り、言語に関心をもった最初の本です。

取り扱い: 京都大学図書館/ 京都府立図書館

今ハマっている本(誰かとこの本について話したい)

数学はなぜ生まれたか?

柳谷晃著 / 文春新書

言語と数学、科学と言語、一見して遠い分野に聞こえるかもしれない。しかし、私が今挑んでいる研究は、無文字社会、伝統社会を維持している社会での数概念や、自然認識とその実生活への応用である。

取り扱い: 京都大学図書館/ 京都府立図書館

シャーマンの弟子になった民族植物学者の話 上・下

マーク・プロトキシ著、屋代通子訳 / 築地書館

民族植物学者である著者自身のフィールドワークに基づく物語。植物や自然を利用して食用や新薬にしていく過程、癒しの植物、現地の植物利用から現代社会の実例まで記述されている。呪医との出会いを求めて南米アマゾンを舞台にした物語。

取り扱い: 京都大学図書館/ 京都府立図書館

若者にお勧めしたい本

はじめての言語学

黒田龍之介著 / 講談社現代新書

「言語学とは何か」を、小中高生や専門外にもわかりやすく、適格に書かれた良書。言語はあまりに身近で、外国語学習と言語学を混同する場合が多い。言語学に関する偏見や言語に関する先入観を取り去り、さらに学びたい分野に関しては参考書が列挙されている。1日で読める楽しい入門書。

取り扱い: 京都大学図書館/ 京都府立図書館

絶滅していく言語を救うために―ことばの死とその再生

クロード・アジェージュ著、糟谷啓介訳 / 白水社

世界には消滅の危機に瀕する言語が無数に存在します。消滅危機言語に関する見解も学者によって様々です。この本を通じて、世界の言語の数、多様性、どういうきっかけで、どのように言語が消滅していくのか、消滅危機言語に対して我々は何をすべきか、何ができるのか、考えるきっかけを与えてくれます。

取り扱い: 京都大学図書館/ 京都府立図書館

名もなきアフリカの地へ

ケニアを舞台にした映画、ユダヤ人迫害をのがれ、ケニアの農村へ移り住む親子と現地の人々の物語。外国語アカデミー賞受賞。ユダヤ人少女がケニア農村部の子供たちと言語・文化ともに打ち解けていく姿が印象的。

取り扱い: 京都大学図書館

自分の研究に関連して紹介したい本

民族植物学-原理と応用

C.M.コットン著、木俣美樹男・石川裕子訳 / 八坂書房

フィールドワークを行っている言語学者にとって、植物学は、とても密接な分野です。言語調査を通じて、また、植物語彙や植物利用を通じて言葉のルーツや言葉の移動、文化接触を知ることができます。

取り扱い: 京都大学図書館/ 京都府立図書館

太平洋-東南アジアとオセアニアの人類史

ピーター・ベルウッド著、植木武・服部研二訳 / 法政大学出版局

祖先を同じくする、オーストロネシア語族の言語、台湾の原住民の言語、ニュージーランドのマオリ族の言語、アフリカ東海岸のマダガスカルの言語、イースター島のラパヌイ語など2000以上の島々の言語と人類の歴史について詳しく解説してあります。

取り扱い: 京都大学図書館/ 京都府立図書館

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