アカデミックデイ2015
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建物の地震時レジリエンス向上にむけて

研究者からの一言 地震に強い建物や最悪地震動って知ってますか?

概要

地震動には様々なタイプのものがあり、いつどこで起こるかを建物の設計段階で予測することは困難です。このような難しい問題を解決する有力な方法として、「最悪地震動による方法」があります。このテーマについて、どのような建物が優れているかを交えて説明します。

出展代表者

工学研究科 建築学専攻
 竹脇 出 教授

参加者

工学研究科
 竹脇 出 教授
 藤田 皓平 助教

関連URL

来場者より

安心で賞
わかりやすく話してくれたで賞
アイデアがすばらしいで賞
地震に強くなってほしい賞
先生の説明が熱かったで賞
興味深い賞
安心をありがとう賞
日本を守ってほしい賞

アカデミックデイを経ての感想

アカデミックデイに参加させていただきましたが、これほどポスターの前に来ていただけるとは思っていませんでした。

 

私の研究対象である建築は、皆さんが生活をする家(一戸建て、マンションなど)に関するものですから興味を持っていただけたのかと思います。

 

2011.3.11の東北地方太平洋沖地震以降、日本の多くの人は地震に対する安全性に非常に敏感になっていると思います。その不安・疑問を解決したいという要望があるのかもしれません。

 

私の展示では、皆さんがよくご存知の、東京スカイツリー、あべのハルカス、グランフロント大阪などについても紹介させていただきました。私の研究室の先輩や後輩が設計されたもの、あるいは私が設計段階の審査などに関係させていただいたものでしたので、皆さんに関心を持っていただけたように思います。このような超高層建物の地震時の安全性については今後も国民の方々の不安・疑問に対して十分説明できるように努力したいと考えています。

 

アカデミックデイの展示で私が紹介したもう一つの内容は、昨年から今年にかけて展開した「動力学」の原理に関するもので、37年に及ぶ私の研究者人生の中でも三指に入るものと考えています。それは1960年来の構造物の振動に関する世界の難問を一挙に解決したものと考えています。使う道具は高校の物理のレベルに少し毛が生えたものですが、要は発想の重要さです。半世紀に渡り、誰も考えつかなかった方法を考案したときの驚きと喜びは何にも代えがたいものがあります。この研究成果はオープンアクセスジャーナルという誰でも見ることのできる学術専門誌(Online出版)に掲載されており、これまでに多数のアクセスがある注目すべき論文としてこのオープンアクセスジャーナルで取り上げられました。この春から、日本学術振興会という日本の学術推進の中心となる組織では、このオープンアクセスジャーナルへの科学研究費補助金による成果の公表を強く推奨するようになっています。国民の皆さんの税金で行っている研究である以上当然のことと思われます。私が上記の成果を出版したのはNature Publishing GroupのFrontiers社のジャーナル(Frontiers in Built Environment)です。是非一度アクセスしていただきたいと願っています。(http://journal.frontiersin.org/journal/built-environment/section/earthquake-engineering#)

 

本当は高校生や中学生にもっと話を聞いてほしかったと思っています。今後、高校生や中学生が参加しやすい広報活動がなされることを期待しています。

竹脇 出(工学研究科)

フォトギャラリー

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研究者の本棚

本出展の参加研究者がお勧めする本をご紹介。

= 取り扱いあり

若者にお勧めしたい本

理系のための独創的発想法

ア・べ・ミグダル 著,永田好弘 訳/東京図書,1992年

「科学における創造の動機」、「どのように科学的探究を行えばよいのか」などの項目を通じて、科学者にとって独創性・創造性が如何に重要で、それを育むにはどうすればよいかについて、わかりやすくかつ興味深く書かれています。

研究と独創性

学術月報編集委員会 編/日本学術振興会,1991年

独創的研究とは何かについて、ノーベル賞・フィールズ賞受賞者を含む多くの研究者の意見をまとめています。

自分の研究に関連して紹介したい本

図解・超高層ビルのしくみ

鹿島 編/Blue Backs, 2010年

超高層ビルのしくみについて、建物耐震設計の歴史から読み解いています。昭和初期の柔剛論争から、最新の制振構造に至る幅広い内容を含んでいます。

みんなが知りたい超高層ビルの秘密

尾島俊雄・小林昌一・小林紳也 著/サイエンス・アイ新書, 2010年

超高層ビルのしくみについて、構造安全性だけでなく、実際の施工方法や維持管理についてわかりやすく解説しています。また、超高層ビルの高さの限界や地下の深さの限界など、興味深い内容についても触れています。

東京スカイツリーの科学

平塚桂・たかぎみ江 著/サイエンス・アイ新書,2012年

東京スカイツリーについて、「どうやって設計したか?」、「どうやって建てたか?」、「設備はどうなっているか?」などについて、初心者向けにわかりやすく書かれています。

材料力学史

SPティモシェンコ 著,最上武雄・川口昌宏 訳/鹿島出版会, 1974年

材料力学は、構造物を安全に設計する際の基礎をなす学問である。レオナルド・ダ・ヴィンチ、ガリレオ・ガリレイから始まり、17世紀から20世紀に至る材料力学の歴史的発展を興味深く解説しています。

Improving the Earthquake Resilience of Buildings: The worst case approach

I.Takewaki, A.Moustafa and K.Fujita/Springer (London), July, 2012

建物の地震に対するレジリエンスを向上させるための方法について解説した英語の本です。建物の地震に対するレジリエンスについて論じた本は世界的にもめずらしく、世界各国の研究者に広く読まれています。この本は、2014年の日本建築学会著作賞を受賞しています。

Critical Excitation Methods in Earthquake Engineering, Second Edition

I.Takewaki/Elsevier, 2013

建物の最悪地震動について英語で解説しています。建物の最悪地震動に関する本は世界でもめずらしく、世界各国の研究者に広く読まれています。