京都大学アカデミックデイ2015

ひとは宇宙へ飛び立つべきか?(10:30-12:00)

研究者からの一言:哲学者と一緒に、宇宙の話をしよう

映画や漫画の作品(例:『インターステラー』や『宇宙兄弟』)をとり上げ、宇宙開発の正当性をめぐる「宇宙倫理学」の問いについて来場者と議論を交わし、日常とかけ離れていると思われがちなテーマを身近に感じてもらう。

出展代表者

学際融合教育研究推進センター 宇宙総合学研究ユニット
 呉羽 真 特定研究員

参加者

学際融合教育研究推進センター 宇宙総合学研究ユニット
 呉羽 真 特定研究員
理学研究科
 玉澤 春史 博士課程3年
千葉大学 大学院人文社会科学研究科
 吉沢 文武 特別研究員
一橋大学 大学院社会学研究科
 清水 雄也 博士課程3年

関連URL

http://www.usss.kyoto-u.ac.jp/research/spaceethics.html

来場者より

これからも研究をがんばってほしいで賞
クレハさんおもしろかったで賞
宇宙人のような人ばかりで賞
おもしろかったで賞
すばらしいで賞
それは夢で賞

アカデミックデイを経ての感想

小学生から社会人まで多彩な顔ぶれの方々にご参加いただきました。

「ひとは宇宙へ飛び立つべきか?」という問いに対するご意見を伺ったところ、ほとんどの方が「イエス」という答えでした。

皆さんの宇宙への関心の高さと知識の豊かさが強く印象に残りました。
わたしたちの意図は、この問いが高度に哲学的な問題であることを理解していただき、実際にお話しする中で議論の道筋を探ってみることにありました。

対話に加わっていただいた皆さんが宇宙開発に関するニュースを耳にしたときに、わたしたちと議論したことを思い出していただければ何よりです。

フォトギャラリー

研究者の本棚

本出展の参加研究者がお勧めする本をご紹介。

今の仕事(研究、進路)を選ぶきっかけになった本

宇宙兄弟(1~26巻)

小山宙哉 著 / 講談社

2014年にわたしの所属している学会で、JAXA筑波宇宙センターに行って宇宙開発について学ぶ、という企画がありました。わたしはただ、大好きなこの漫画の舞台を見てみたいというミーハーな動機でそこに参加したのですが、それが縁でいま宇宙総合学研究ユニットという部署に勤め、「宇宙の哲学」などという途方もない研究テーマに挑戦することになりました。

今ハマっている本(誰かとこの本について話したい)

今世紀で人類は終わる?

マーティン・リース 著

終わっちゃうかもしれないらしいです。大変だ。宇宙物理学者が書いた本なのですが、21世紀の人類に襲いかかる(かもしれない)カタストロフについて、とてもわかりやすく解説しています。

取り扱い: 京都大学図書館

パンダが来た道――人と歩んだ150年

ヘンリー・ニコルズ 著

研究とは(今のところ)関係ありませんが、最近読んで面白かった本です。パンダというのんきな動物が人間の都合に翻弄されてきた経緯を、パンダの生息地である中国の浮沈や保護活動の歴史・現状と合わせて解説しています。はたしてパンダは哲学のテーマになるのでしょうか? 宇宙の哲学が一段落したら(いつになるやら……)、ぜひ考えてみたいです。

取り扱い: 京都大学図書館/ 京都府立図書館

若者にお勧めしたい本

私たちはどう生きるべきか

ピーター・シンガー 著

倫理学という学問に入っていくのにいい本だと思います。著者のシンガーは、特に動物倫理学の分野の代表的理論家です。

取り扱い: 京都大学図書館/ 京都府立図書館

祈りの海

グレッグ・イーガン 著

人気SF作家の第1短編集です。表題作が好きです。〈人生の意味〉や〈科学と宗教〉といったディープな哲学的問題を扱った、感動的な作品です。

しあわせの理由

グレッグ・イーガン 著

人気SF作家の第2短編集です。こちらも表題作が好きです。〈テクノロジーと幸福〉という哲学的な問題を扱っていて、いろいろ考えさせてくれます。

自分の研究に関連して紹介したい本

偶然の宇宙

伊藤邦武 著

わたしの学生時代の先生が書いた本です。「わたしたちが存在するこの宇宙は、偶然の産物なのか?」という深遠すぎる問いについて論じています。とはいえ、それに答えを出すことよりは、この問いを前にして立ちすくむ人間の姿を描こうとした作品だと思っています。読んでたやすく理解できるような代物ではないですが、哲学という学問の深みを味わいたければおすすめです。

取り扱い: 京都大学図書館/ 京都府立図書館

生まれながらのサイボーグ――心・テクノロジー・知能の未来

アンディ・クラーク 著, 呉羽真ほか 訳

わたしが訳した本です。認知科学・認知技術の話題と哲学の手法をベースに、「人間は生まれながらのサイボーグだ」という驚きの主張を展開する、野心的な本です。原書で読んであまりにも面白かったので、翻訳するだけでなく、博士論文のテーマにもしました。最終的に著者の主張には反対することになったのですが、やっぱり強い思い入れがあります。買ってください。

取り扱い: 京都大学図書館/ 京都府立図書館

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