アカデミックデイ2018
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社会的に認められない結婚と親子関係

研究者からの一言 家族の形とマイノリティの問題について考えましょう

概要

結婚と売春は、多くの社会において別々の領域に属するものとされています。この研究紹介では、ネパールで「売春カースト」とみなされてきたコミュニティでのフィールドワークの経験から、「妻」となれなかった女性たちと認知されなかった子どもたちの権利の問題を一緒に考えたいと思います。

出展代表者

人文科学研究所
 藤倉 康子 日本学術振興会特別研究員(PD)

参加者

人文科学研究所
 藤倉 康子 日本学術振興会特別研究員(PD)

来場者より

こういうパターンがあったのか賞
たのしい時間をありがとう賞
子どもの権利が一番大事で賞

写真:社会的に認められない結婚と親子関係

アカデミックデイを経ての感想

ちゃぶ台を囲んで、来場者のみなさんとじっくりお話することができました。結婚や家族について、またマイノリティや差別について、みなさんの身近な問題にひきよせて考えて下さり、同じ時間帯に来て下さった方々どうしの意見交換にも発展しました。若い学生さんのグループ、女性の方々のグループなど、議論が盛り上がり、終了時間を過ぎても話がつきず、充実した対話の場となりました。

フォトギャラリー

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研究者の本棚

本出展の参加研究者がお勧めする本をご紹介。

= 取り扱いあり

今の仕事(研究、進路)を選ぶきっかけになった本

他社の苦しみへの責任ーソーシャル・サファリングを知る

アーサー・クラインマン、 ジョーン・クラインマン、 ヴィーナ・ダス、 ポール・ファーマー、 マーガレット・ロック、 E・ヴァレンタイン・ダニエル、タラル・アサド、坂川雅子訳

人々が経験する、さまざまな苦しみや痛みが、社会構造の一部をなすということを示し、医療人類学をはじめとして、健康、福祉、法律、宗教など様々な分野において、その後の議論の土台となった本。政治的暴力や社会の構造的暴力、日常的な抑圧などの問題が、文化人類学、社会史、文芸批評、宗教学、社会医学の観点から考察されていて、理論と政策の関係を複合的に理解することができます。

今ハマっている本(誰かとこの本について話したい)

現代家族ペディア

比較家族史学会 編

この本は、現代家族のデータブックとして編集されていますが、近年の新たな家族の形や、家族を超える親密圏など、最新の研究動向も含まれていて、「家族って何?」という根本的な問題についても考えさせられます。若手の研究者による章も多く含まれ、多文化主義、ジェンダー論、グローバリゼーション、生殖医療や、多様な親密関係の考察など、刺激的な議論にふれることもできる一冊となっています。

若者にお勧めしたい本

境界を攪乱するー性・生・暴力

竹村和子

フェミニズム理論と正面から向き合い、性の権力構造や、暴力と性の政治について、深く考えぬかれた本。ジュディス・バトラーの翻訳者であり解読者でもある著者は、「根源的な他者」という問題に関し、理論的には、主体/他者で切り分けられない存在の在り方を模索し、政治的には、差異と平等の終わりのない交渉について論じています。著者の没後に編集された本ですが、思索途中の息吹が伝わってくるような迫力を感じます。

自分の研究に関連して紹介したい本

彼女達との会話ーネパール・ヨルモ社会におけるライフ/ストーリーの人類学

佐藤斉華

本書は、ネパール・ヨルモ社会で生きる女性達の生と、彼女達自身によるその生についての語りから、社会に生きる個人の姿を、一人一人の生に寄り添って描くことにこだわった力作です。個人の行為と社会的諸力の関係を考察しながら、人間の生を、その人本人による語りを通して浮かび上がらせる手法がとられ、特に、女性達の結婚をめぐる語りの分析からは、生きた軌跡としてのジェンダーを読み取ることができます。