京都大学アカデミックデイ2019

臨床試験を科学する-臨床統計学

研究者からの一言:ディオバン事件って知っていますか?

新しい医薬品や治療法の開発では、最終段階で患者さんが参加する実験である「臨床試験」が行われます。臨床試験の実施には厳密な科学性と倫理性が求められ、専門的な知識を持つ統計家の参加が不可欠となっています。この研究領域が臨床統計学です。臨床試験を科学する臨床統計学、みなさんも体験してみてください。

出展代表者

大学院医学研究科
 佐藤 俊哉 教授

参加者

大学院医学研究科
 佐藤 俊哉 教授
 田中 司朗 特定教授
 土居 正明 准教授
 今井 匠 特定研究員

来場者より

新しい数学の道を見せてくれたで賞

アカデミックデイを経ての感想

いろいろな方に興味をもっていただき、われわれ出展者も楽しませていただきました。
高校生のみんな、臨床統計はおもしろいよ。

フォトギャラリー

研究者の本棚

本出展の参加研究者がお勧めする本をご紹介。

今の仕事(研究、進路)を選ぶきっかけになった本

宇宙船ビーグル号の冒険

A・E・ヴァン・ヴォークト / 東京創元社

「ネクシャリスト」とはあらゆる科学の領域について広く浅い知識を持つ専門家で、プライドの高い各領域の専門家の意見を理解し調整し問題解決を行う、ヴォークトが想像した科学の専門家です。臨床統計家は医療に関する幅広い知識と臨床統計学の深い専門性を持ち、臨床試験に関わる様々な職種とコミュニケーションを取って課題を解決しています。専門性もあわせ持った、まさに進化した医療のネクシャリストといっていいでしょう。

取り扱い: 京都大学図書館

今ハマっている本(誰かとこの本について話したい)

みなか先生といっしょに統計学の王国を歩いてみよう

三中信宏 / 羊土社

データ解析の講義をする際「数式をどの程度用いるか」は大きな課題です。数式で「正確な」理解をして欲しい気持ちと、直感的な説明で「本質部分を」理解して欲しい気持ちの間で、いつも葛藤しています。本書は、数式の重要性を十二分に理解されている著者が、「現在利用されている統計理論の根幹はすべて直感的に理解できるし、まずはそれをめざすべき」というスタンスで書かれており、講義のバランスを考える際に重宝しています。

取り扱い: 京都大学図書館

自分の研究に関連して紹介したい本

統計学を拓いた異才たち

デイヴィッド・ザルツブルグ / 日本経済新聞出版社

今年3月、アメリカ統計協会はさまざまな領域での検定やP値に関する誤解・誤用をなくすため、学会誌のeditorialで「Don’t say “statistically significant”(『統計的に有意』は使わない)」と宣言しました。本書ではその検定が生まれた背景が多くのエピソードとともに語られています。特に「significant」という英語の意味が、検定の生まれた当時と現在で変わった(10章)、は衝撃的でした。登場する多くの統計家はbiostatisticiansであり、現在の臨床統計家の源流となった研究者です。

取り扱い: 京都大学図書館

直観を裏切る数学

神永正博 / 講談社

ものごとを判断する上で直観を信じて行動することはある程度重要ですが、時には直観が全く機能しないこともあります。そんな時に数学を用いて如何に真実を見極めるか、を例を用いて優しく解説している一冊です。

取り扱い: 京都大学図書館

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