京都大学の研究者が、半世紀以上にわたって様々な関係を紡いできたアフリカ大陸。これまでのつながりは、研究者個人や研究プロジェクト単位が主だった。そこで、これまでにアフリカ各地に置かれた「点」をつなぎ、国際的なネットワークとして機能させるべく京都大学が一丸となった「アフリカ学際研究拠点推進ユニット(通称:アフリカ・ユニット)」が、2016年に発足した。アフリカ関連の研究と教育の国際的なハブとして、分野を越えた活動を目指すユニットの設立経緯や期待する姿などを、ユニット長の重田眞義教授ら関係者に聞いた。

京都大学とアフリカ

 京都大学でアフリカをフィールドとして研究しているのは、アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)やアフリカ地域研究資料センターを筆頭に、霊長類研究所、野生動物研究センター、理学研究科自然人類学教室、理学研究科人類進化論教室などがある。アフリカに研究対象を持つ研究者を見渡せば、文学研究科の松田素二教授や人間・環境学研究科の石川尚人教授、防災研究所の石川裕彦教授、地球環境学堂の舟川晋也教授など、文系や理系、分野を問わず多くの名前が挙がる。

 しかし、アフリカ学際研究拠点推進ユニット(通称:アフリカ・ユニット)の重田眞義教授によると、これら点在する研究者や研究プロジェクトにはこれまで、横のつながりが公式な組織としてなかったという。様々な分野の研究者がアフリカ各地で別々に研究していたため、連携を取って大型研究資金の獲得を目指す機会を逃してきた可能性がある。そこで、京都大学におけるアフリカに関する多種多様な活動を横断的につなぐ、アフリカ研究の「ハブ」としての拠点作りの足がかりとして、アフリカ・ユニットが立ち上がった。

 アフリカ・ユニットまでの道のりを見ると、京都大学によるアフリカ研究への第一歩は、日本霊長類研究の創始者・今西錦司が代表となったアフリカ類人猿学術調査(1961〜67年)だ。アフリカ・ユニットの重田眞義教授が、「京都大学のアフリカ研究は霊長類研究から始まったのは間違いない」というように、この学術調査に同行した京都大学の霊長類研究者・伊谷純一郎が中心となって、1986年に京都大学にアフリカ地域研究センターが設立された。霊長類だけではない動植物の生態や、アフリカの人々の暮らしも含めた社会と文化を切り口として、アフリカの生態・社会・文化をより深く理解することを目的としたセンターで、幅広い学際的な地域研究が進んだ。

今西錦司(中央)と伊谷純一郎(右)
今西錦司(中央)と伊谷純一郎(右)

 1980年代から世界各国で「地域研究(Area Studies)」が始まったが、アフリカ地域研究センターのように理系の研究者が入っているところは世界でも珍しい。重田教授は、「文理融合という言葉が生まれる前から、東南アジアで進められてきた地域研究では農学に代表される理系分野の研究が深く関わってきた。このような京都大学の地域研究の特色は、アフリカ研究においても共通されている。」と話す。

 同センターは、日本初のアフリカ地域研究を行う場所として幅広い研究者が集まったが、人材育成の視点から「大学院」の必要性が高まり、東南アジア研究センター(現東南アジア地域研究研究所)と協力して1998年にアジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)を設立する。それまで、アフリカ地域研究センターが協力教員としておこなってきた大学院教育はASAFASに移り、同センターは1997年からアフリカ地域研究資料センターとして今に至っている。