技術職員と研究者の垣根なく、夜通し語り合った日々

―― ここからは所長の川端教授も交えてお話を伺います。奥村さんと所長とは、長いおつき合いなんですよね

川端所長 私が修士の大学院生として、ある先生のもとで研究をしていたとき、奥村さんがここの技術職員でしたから、20代のころからのつきあい。

奥村清 だから川端さんを「先生」とは呼びにくい(笑)。

いつも笑顔の川端所長。専門は中性子物理工学
いつも笑顔の川端所長。専門は中性子物理工学

川端所長 当時は教員も技術職員も同じ部屋にいたんです。私らがいた部屋の風習として、月に1回は全員で鍋料理を作って、徹夜で飲んで食べて語ろうというのがあって。みんな、若かったから、朝まで飲めるわけですよ。そのときに奥村さんから懇々とね、「研究者とはこうあるべきだ」という話をされましたねぇ。

奥村清 酒の席ですから、言いたいこと言ってましたね。

川端所長 当時は研究と管理業務の区別がはっきりとはしていなくて、技術職員も教員も一緒になって仕事をしていました。教員の中には管理業務に偏りがちな人もいて、奥村さんは「研究者なら、雑用に逃れずに研究をしっかりやるべきだ」と。逆に管理業務をおろそかにして研究ばかりやっている人に対しては「甘えてないで、必要な仕事もしっかりこなすべきだ」とよく言っていましたね。一緒に仕事をしているから、全部見透かされるんですよ。要は、一つの社会の中に生きているのだから、そこで必要とされることをしっかりやれ、と。立場は違っても、それぞれが真摯に生きよ、ということを奥村さんは常々言っていましたね。私は、ちょっと口ごたえはしたかもしれないけど、内心は「うーん」と考えさせられていましたよ。

奥村清 技術職員は研究の成果というものは、あまりわからないんですよ。ただ、研究に取り組む姿勢は見ることができる。その姿勢で研究者の真剣さを判断していたところがあります。研究者の情熱を感じるからこそ、技術職員も全力でいい仕事をしようと思えるんです。

話題が尽きない鼎談
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