Research Support
SPIRITS

ダイズの光合成ダイナミクスの解析を通した光合成能力および生産性の向上

研究スローガン

フィールドにおける光環境の変動に対するダイズの光合成応答

キーワード

光合成、光合成誘導反応、ダイズ、光環境

研究背景および目的

葉の光合成能力は、作物の生産力に大きく影響する重要な要因である。実際の作物の生育環境は、光や気温をはじめ多くの環境条件が常に変動している状態(非定常状態)にある。特に、光の強さが急激に変化した際の光合成速度の応答(光合成誘導反応)の実態については、ほとんど明らかとなっていない。そこで本研究では、本学、イリノイ大学、ミシガン州立大学の3研究拠点にまたがる国際共同研究体制を構築し、ダイズを対象として光合成誘導反応の実態を解明し、その遺伝的な改良をめざすことを目的とした。

成果の要約

ダイズの光合成誘導反応には、これまで知られていなかった非常に大きな遺伝的変異が存在することが明らかとなった。さらに光合成誘導反応の差異は、主に葉に存在する酵素Rubiscoの活性化効率によりもたらされていることが強く示唆された。単一の植物種の中で、このような現象を見出した例は他になく、今後の作物育種研究にとって重要な知見が得られた。本研究成果をもとに、日米共同研究ネットワークの発展、および競争的外部資金の獲得を行うことができた。

今後の展望

本プロジェクトで得られた研究成果をもとに、光合成誘導反応のさらなるメカニズムの解明、および圃場条件におけるバイオマス生産性への寄与の評価を行う予定である。また我が国の最重要作物であるイネを新たな研究対象とし、光合成誘導反応の研究を開始したい。

関連写真・図

人工気象室内(左)、およびイリノイ大学の実験圃場(右)において行われたダイズの光合成測定実験

代表者情報

田中佑

・代表者氏名:田中佑
・所属部局名:農学研究科
・自己紹介:イネおよびダイズなどの土地利用型作物を対象に、葉の光合成能力の差異をもたらすメカニズムの解明を通した、光合成能力の増強、および生産性の向上を目指している。
・関連URL:http://www.cropscience.kais.kyoto-u.ac.jp/