非平衡ソフトマター:ガラスとアクティブマターに対する計算と実験の共奏

研究スローガン

実験とシミュレーションの協奏で非平衡ソフトマター物理学にブレークスルーを

キーワード

シミュレーション、コロイド分散系、マイクロスイマー、細胞遊走

研究背景および目的

山本(京大)らは各種ソフトマターに対して新しいシミュレーション手法を開発してきた。Royall准教授(ブリストル大学→京大)らは、蛍光顕微鏡など最新の実験技術を用いることで、コロイドや自走粒子系の構造とダイナミクスについて先駆的な成果を挙げてきた。本研究ではこの両者の共同研究をさらに発展させ、非平衡ソフトマターに関してより協奏的な共同研究を本SPIRITプロジェクトで実施した。

成果の要約

本プロジェクトの成果としては、すでに多数の論文が有力な国際ジャーナルに出版されている。国内外のネットワーク形成としては、本SPIRITプロジェクトを通し、主要メンバーであるブリストル大学のRoyall准教授を平成28年3月1日付けで本学准教授として採用するに至った点を強調したい。これにより、本学の教育・人材育成の国際化にも大きな貢献が期待できる。その他、仏キュリー研究所、英ウォーリック大学とも共同研究を開始した。

今後の展望

細胞の接触阻害は、遊走だけではなく創傷治癒や腫瘍の成長などといった、生物にとって重要な動的プロセスにおいても重要な役割を担っている。このような現実的な問題に計算科学を導入するための足がかりとして、本研究で開発した遊走し分裂する細胞の粒子ベースモデルを発展させ、このような動的プロセスに応用可能な力学モデルの構築を行う。現時点において、細胞コロニーの成長過程などの試験的なシミュレーションに成功している。

関連写真・図

Squirmerモデルのパラメータαと実際の微生物の対応。(a)のバクテリアはα<0のpusher型(c)に、(b)のクラミドモナスはα>0のpuller型(d)に対応
Squirmerモデルのパラメータαと実際の微生物の対応。(a)のバクテリアはα<0のpusher型(c)に、(b)のクラミドモナスはα>0のpuller型(d)に対応
基板上を遊走する細胞集団のスナップショット。上部に示されているように細胞の前後の大きさによって細胞の運動形態が異なる。前部が小さい場合(a)はクラスター状に集まって動かないが、前部が大きい場合(b)、(c)では同じ方向に揃って運動するようになる。矢印は細胞の速度と方向を、色は個々の細胞の移動方向の揃い度合いを表している
基板上を遊走する細胞集団のスナップショット。上部に示されているように細胞の前後の大きさによって細胞の運動形態が異なる。前部が小さい場合(a)はクラスター状に集まって動かないが、前部が大きい場合(b)、(c)では同じ方向に揃って運動するようになる。矢印は細胞の速度と方向を、色は個々の細胞の移動方向の揃い度合いを表している

代表者情報

山本量一

・代表者氏名:山本量一
・所属部局名:工学研究科
・自己紹介:1992年神戸大学工学研究科修士課程修了、1994年京都大学工学研究科博士課程中退、神戸大学自然科学研究科、京都大学理学研究科を経て。2004年から現所属、2008年教授に昇任。ソフトマターの計算科学。現在は生体組織の成長や形態変化の物理モデリングに一番興味がある。
・関連URL:http://www-tph.cheme.kyoto-u.ac.jp/