Research Support
SPIRITS

ヒトを含む霊長類精子幹細胞の研究拠点の構築

研究スローガン

ヒトを含めた霊長類の精子幹細胞の培養系確立

キーワード

精子形成、幹細胞、培養、男性不妊症、移植

研究背景および目的

近年のがん治療法の進展によりがん患者の生存率は改善した。しかしながら、がんの治療は生殖細胞にも損傷を与えるため、医原性の不妊症が増加している。成人男性は精子保存が可能であるが、精子のない小児の治療は困難である。これを解決するために精子の源となる精子幹細胞を培養し、精巣に移植することで妊孕性を回復するという治療が注目されている。しかしながら、ヒトを含む霊長類精子幹細胞の実体は明らかとなっていない。

成果の要約

精子幹細胞を用いた移植治療には精子幹細胞の培養系の確立が必要である。しかしながら、ヒト精子幹細胞の発現する遺伝子は明らかになっておらず、その増殖因子は同定されていない。そこで本研究では、我々はヒト精子幹細胞に発現する新規のチロシンキナーゼ受容体を同定した。これにより純度の高い精子幹細胞をヒト精巣から回収することが可能となり、ヒト精子幹細胞培養系の確立に貢献する。

今後の展望

今回のネットワーク形成で得られるようになったヒト精巣サンプルを用いて、ヒトの精子幹細胞が試験管内で増殖できるような培養条件を同定することが直近の目標である。将来的は試験管内で精子幹細胞から精子を誘導したい。

関連写真・図

精子幹細胞を用いた医原性不妊症に対する妊孕性保護
公開シンポジウムポスター

共同研究機関

ピッツバーク大学、ユトレヒト大学

代表者情報

篠原 隆司

・代表者氏名:篠原 隆司
・所属部局名:医学研究科
・自己紹介:私は学生時代に生殖細胞について興味をもち、2003年にマウス精子幹細胞の長期培養系を確立しました。現在はこの培養系を他の動物種に拡大すると共に、試験管内で精子を作ることを目指しています。細胞培養と読書が趣味です。
・関連URL:
http://www2.mfour.med.kyoto-u.ac.jp/~molgen/research_summary.html