Research Support
SPIRITS

あたらしい触覚学の創成とその応用

研究スローガン

触覚をデザインする

キーワード

触覚、触譜、盲聾、コミュニケーション、発達

研究背景および目的

触覚は最も原始的なコミュニケーションの手段である。本研究グループではこれまでに顔マッサージを参考に触覚の変化を記述しデザインする言語である触譜を開発してきた。このSPRITSのプロジェクトではデザインされた触覚刺激を再生するデバイスの開発を行う。さらに、この触譜とデバイスを音楽・ダンスなどに活用する可能性、盲聾者の自立支援、表現手段として利用する可能性を検討する。これと平行して、広い意味での触覚刺激が乳幼児の発達や高齢者のリハビリテーションに与える効果を検証する。

成果の要約

本SPRITSプロジェクトではデザインした触覚刺激を再生する顔マスクの作成を行った。まず芸術面での利用として、舞踊からリアルタイムで触覚刺激を作成し、顔マスクを通じて観客に伝えるという実験的なパフォーマンスを実施した。また触譜作成の手法を盲聾者に教えることで、彼らがマッサージや他の触覚コンテンツを作成できるようにすることも試みている。これにより盲聾者の自立を支援することが出来ると期待している。これと平行して、広い意味での触覚刺激が、乳幼児の発達に与える効果の準備的な研究を行った。

今後の展望

まず、顔マスクによる触覚刺激については、その生理学的な効果をエビデンスとして定量的に示すことに挑戦したい。平行して実施している乳幼児の心拍データの解析は、生理学的指標として心拍データを用いることから派生した研究である。さらに、身体接触などの母子間の相互作用が、乳幼児の認知能力や言葉の発達に与える効果を研究していく。

関連写真・図

初期の触譜。それぞれがマッサージに対応
作成した触覚刺激再生のための顔デバイス
SHOKKAKU2019でのパフォーマンスの様子

代表者情報

阪上 雅昭

・代表者氏名:阪上 雅昭
・所属部局名:人間・環境学研究科
・自己紹介:専門は物理学です。以前は、ブラックホールなどの研究を行っていましたが、最近は人間や動物の集団を物理学の観点から研究する“群れの科学”に取り組んでいます。このプロジェクトは、集団内の人同士の触覚コミュニケーションに関する研究です。