Research Support
SPIRITS

データ駆動型科学が解き明かす古代インド文献の時空間的特徴

研究スローガン

古代インド文献の生成と発展を「可視化」する

キーワード

古代インド、ヴェーダ文献、可視化分析

研究背景および目的

多くの古代文献は、その成立に謎を抱えている。本研究の対象である、紀元前1500年から500年の間に成立したと言われる古代インドのヴェーダ祭式文献も、いつ、どこで、誰によって書かれたかが記されない「年代、作者不詳」の文献である。本研究では、ヴェーダ文献の言語を分析し、抽出した言語的特徴を時間軸・空間軸上に位置付ける可視データを作成することで、文献の成立過程とその背景となる社会の変化について仮説を構築することを目指す。

成果の要約

ヴェーダ文献の言語の分析方法、データ可視化の方法を考え、言語の発展および文献成立プロセスを的確に捉え表しているかを検討し、フィードバックを繰り返した。その結果、文献間関係の可視化、文献の構造のマッピングを達成することができた。計2回の国際ワークショップの開催により研究者ネットワークが広がり、後継プロジェクト、国際共同研究強化(B)「ヴェーダ文献における言語層の考察とそれを利用した文献年代推定プログラムの開発」を始動させるに至った。

今後の展望

文献間関係可視化ツールが完成し、今後この利用によりヴェーダ文献の生成と発展に関する新しい知見がどんどん発見されることが期待できる。本システムの利用を拡め、より多くの研究者と共に議論を発展させたい。

関連写真・図

国際ワークショップ開催(2021年2月12日および2022年2月11日)
ヴェーダ文献の相関関係の可視化

代表者情報

天野 恭子

代表者氏名:天野 恭子
所属部局名:白眉センター・人文科学研究所
自己紹介:2001年フライブルク大学、印欧語比較言語学博士。4人の子育てによる10年のブランクを経て2013年日本学術振興会特別研究員RPDにより復帰。ヴェーダ文献の言語を研究する中で言語の変遷と文献の生成過程を可視化するアイデアを得、情報学との学際研究に至ったが、本人はかなりのデジタル音痴。