解離性障害の研究の濫觴
研究スローガン
解離という現象に文理融合的手法で迫る
キーワード
解離症、精神疾患、科学哲学、神経科学
研究背景および目的
記憶喪失や幻覚などの精神症状や原因不明の身体症状が生じる解離症は人口の約1~3%が罹患し、うつ病より高い割合で自殺をきたすのに問診以外の診断法がないため、客観的な指標が必要である。同時に解離症は永続的でなく一時的な発症でその後に寛解したり、症状が変動したりすることもよくあるため、医学だけでなく本研究は「こころ」と「からだ」はどうつながっているかという科学哲学の領域にも新たな形で影響を与えることが予想される。
成果の要約
MRIの技術の一つであるMRスペクトロスコピー(MRS)を国内外の機関と共同で改良し、さまざまな程度の解離傾向を示す方について脳の領域ごとの代謝産物の濃度を測定したところMRS結果と解離傾向に一定の相関がみられたため、解離傾向を客観的方法で数値化できる可能性が出てきた。また、その過程でわかり始めた解離に関連する脳部位についても機能だけでなく微細構造は未知な部分が少なくないため、死後脳を用いた解剖学的アプローチも開始した。
今後の展望
本年度は研究体制を固めることと予備的な実験を行うことを中心的に行ってきた。次年度は実際の解離症患者と類縁または鑑別すべき疾患の患者を対象に研究を行い、ゆくゆくは動物モデルを作製することで日本が解離症研究のメッカとなることを目指したい。
関連写真・図
代表者情報
代表者氏名: 森 圭史
所属部局名: 医学研究科
自己紹介: 医学部生時代に出会った患者さんを忘れられず、解離性障害の研究を一生のテーマにしました。研究手法も得意な蛍光イメージングだけでなく神経科学的手法から科学哲学にいたるまで学際的であるように、農業・中国書道・VJと多趣味です。
関連URL等:https://researchmap.jp/yoshifumi_mori