京都大学アカデミックデイ2019

これなら安心?細胞・情報を使う研究

研究者からの一言:自分の細胞が研究に使われるとしたら?ぜひご意見を!

ヒトの細胞や医療情報を使った医学研究の適切な実施に向け、私たちは、①病院や研究機関における体制、②細胞や医療情報の扱い方、③研究者の責務や行動基準などを含めた、グランドデザインについて検討中です。よりよい体制作りに向け、ぜひ皆さんの声を聞かせてください!

出展代表者

医学部附属病院
 佐藤 恵子 特任准教授

参加者

医学部附属病院
 佐藤 恵子 特任准教授
 伊藤 達也 講師
iPS細胞研究所
 鈴木 美香 特定研究員
大学院文学研究科
 児玉 聡 准教授

来場者より

未来の医学を明るくするで賞
最高の研究者で賞
こんな研究者に研究してもらいたいで賞
わかりやすかった賞
これもっと早く、速く賞
生命倫理についてわかりやすく解説してくれたで賞
医療と病院の発展につなげてほしい賞
ユーモアを混じえながら地道な研究を紹介してくれたで賞
いつまで生きるのが幸せなんで賞
子どもにも良く分かったで賞
生命倫理を大切に賞
命とはなんで賞
研究者におまかせするのは研究者の方が誠実であると信じているからなんですよ賞

アカデミックデイを経ての感想

アカデミックデイ2019・勝手連ポスターへの訪問ありがとうございました (佐藤 恵子)

 9月15日(日)の京大アカデミックデイ「研究者と立ち話」における私たちのポスター「これで安心? 細胞・情報を使う研究」には、多くの方に足を止めていただきました。ありがとうございました。
 私たちは、人の生き死にに関する問題を解決すべく取り組んで(こねくりまわして)おりますが、そのうちの一つに、診療のために患者さんから採取した組織など(ヒト由来の試料・情報)を使って研究をする際、みなさんに「使っていいよ」と言ってもらうためには、何をどうすればよいかを考え、病院での実践策を立てるという課題があります。試料や情報は、もともとは患者さんに属するものですので、みなさんが、細胞や情報、身体やいのちをどう捉えているかという、理屈ではない心情の部分や、研究者に何を求めているか、研究の対象になることに対して何を危惧するか、というところを聞かせてもらう必要があります。
 そして、昨年のアカデミックデイでは、「採血の残りを研究に利用してよいか」と声をかけられたらどうするかたずねたところ、ほとんどの人が「使用してよい」、研究者に対しては「クローンなどの不気味な研究には使わないでほしい」「意義のある研究をしてほしい」などを求めていることがわかりましたので、今年は「身体から離れた細胞・組織はどのように位置づけるか」「研究実施の状況や成果を知りたいか」などもたずね、具体的なルールを考えることにしました。細胞や組織のとらえ方は、「ただの細胞」から「自分の分身」まで、意見はさまざまでしたが、研究の内容や成果は「知らせてくれなくてよい。病院のHPにあって、調べようと思ったら調べられる程度でよい」というご意見が多数でした。その反面、「研究者は大多数はきちんと研究をしていると思うが、一部には不正する人がいる」とのことで、「ルールを紙に書いて見えるようにしておくことが大事である」「ルールは、研究者の好き勝手な内容になっていても困る」という意見も得られました。他にも、「自分にとってメリットがあって、技術的にも可能なら、個別に進捗や成果を知らせてほしい」というご意見もありました。
 これらを踏まえると、みなさんは、意義のある研究を実施することや、方針やルールを作って研究者が従うことなどが重要と考えていることになり、研究実施側がやるべきことも見えてきました。そして、中には、「採血の残りなどは、捨てるものと思っていました。取っておいて使うのですね」「このように研究が行われていること自体を知ることができてよかったです」という人もおり、「病院で、残余試料や既存試料を使った研究がどのように行われているか」を、世の中に見えるようにするのが大切であることを実感しました。
 このような市民の生の声を聴かせてもらえる機会はたいへん重要で、多くの気づきを頂戴することができて、ありがたかったです。朝から夕方までしゃべりっぱなしで声は枯れ、足は棒になりましたが、楽しい時間でした。
 また、生命倫理学の問題そのものに興味を持ってくださったり、私たちがやろうとしていることに理解を示してくださる方も多く、活力が湧きました。学内の研究者や市民と出会う機会を継続して設けていただいていることに加え、特に準備や当日の運営に尽力くださったURAとスタッフのみなさま方にも、心より感謝申し上げます。

フォトギャラリー

研究者の本棚

本出展の参加研究者がお勧めする本をご紹介。

今の仕事(研究、進路)を選ぶきっかけになった本

現代倫理学入門

加藤尚武 / 講談社

学部生のときに読んで倫理学を学ぶことにしました。 現代の社会的問題を考える上で哲学が重要であることを教えてくれる本です。

取り扱い: 京都大学図書館

今ハマっている本(誰かとこの本について話したい)

137億年の物語 : 宇宙が始まってから今日までの全歴史

クリストファー・ロイド / 文藝春秋

地球が誕生して、生物が生まれ、人間が出現して、文明も争いも起り・・という物語が「続き物」として語られています。 ページを開くだけで時空を超え、好きな時と場所に旅ができる、とても素敵な本です。

取り扱い: 京都大学図書館

若者にお勧めしたい本

マンガで学ぶ生命倫理 : わたしたちに課せられた「いのち」の宿題

児玉聡 文、なつたか 漫画 / 化学同人

再生医療やら脳死臓器移植やら、「夢の医療」などと報道されるけど、そんなにバラ色なの?そもそも、脳死ってなんだっけ? 生き死にの問題は、身近なことであり自分で考えなくてはならないのですが、難しいし辛気くさいし、ハードルが高いですね。 この本は、女子高生の日常を軸にして、脳死や生殖医療、クローン技術など、生命倫理の問題を学びつつ、考えられるように工夫されています。是非手にとってみてください。

取り扱い: 京都大学図書館

自分の研究に関連して紹介したい本

不死細胞ヒーラ ヘンリエッタ・ラックスの永遠なる人生

レベッカ・スクルート (著), 中里 京子 (翻訳) / 講談社

医学研究には不可欠な「ヒト由来の細胞」ですが、その細胞を巡るノンフィクションです。ヒトの細胞を使う研究者にはぜひ一読してほしい作品。一市民としては、研究現場の一面を知ることができる作品。いずれの立場からも、細胞を使う研究はどうあるべきか、を考えさせられると思います。

取り扱い: 京都大学図書館

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