京都大学アカデミックデイズ2021

ゲーム理論で考える組閣

研究者からの一言:経済学も数学に負けず劣らず自由な学問です。

現代の経済学は、景気や財政といった問題のみならず、人間社会のあらゆる問題(例えば、コロナ対策など)を対象とします。その肝は、経済学が、何が起きているのかを観察しようとする「データの科学」としての側面と、なぜそれが起きるのかを考えようとする「モデルの科学」としての側面を兼ね備えていることにあります。今回は、「自民党を中心とする政権の組閣」を対象として、そのような現代経済学の一端をご紹介します。

開催日時

2021年9月29日(水)19:00~20:00
※ 対話参加者は19:00〜20:45までです。

対話研究者

経営管理大学院(大学院経営管理研究部)・准教授
安達 貴教

対話したいこと

二つの軸が設定できると思います。一つは「方法」に関わるもので、今回ご紹介する内容は、ゲーム理論の分野の一部である「交渉理論」に基づいているので、その観点から、「組閣」というテーマに限らず、社会における交渉の役割について議論をしてみることです。もう一つは「対象」に関わるもので、「組閣」を学問の対象として捉えることによって浮き彫りにされる、近現代の日本政治の一端についての理解を深めることです。

対話参加者

募集は締め切りました。(8月23日(月)24:00〆切)

リスナー

募集は締め切りました。(9月28日(火)24:00〆切)

関連URL

https://sites.google.com/view/takanoriadachi-japanese/

研究者の本棚

本出展の参加研究者がお勧めする本をご紹介。

今の仕事(研究、進路)を選ぶきっかけになった本

ミクロ経済学入門

西村和雄/岩波書店

ミクロ経済学に真面目に取り組み始めた頃にメインにしていた教科書。現在の研究に深く関わる「不完全競争の経済学」の貢献者の一人であるロビンソンの名前と顔を知ったのは、本書です。

脱「国境」の経済学

ポール・クルーグマン(著)、北村行伸、高橋亘、妹尾美起(訳)/東洋経済新報社

既存の経済学の拡張を通じて、現実の現象を説明しようとする応用ミクロ経済学の妙に惹かれました。著者のクルーグマン教授は、近年では入門書や時論で広く知られていますが、私は、アカデミックな知見に基づく本書のようなスタイルが好みです。

今ハマっている本(誰かとこの本について話したい)

交渉術

佐藤優/文春文庫

旧ソ連からロシアへの過渡期を現場で経験した元外務省勤務の著者が、外交交渉の舞台裏を活写しており、言わば、「交渉」の生きた教科書とも言えるでしょう。

大正史講義

筒井清忠(編)/ちくま新書

「ちくま新書」の日本史シリーズの最新刊。アカデミックな知見に基づく手堅い論稿を読みながら、日本史の古びた知識をアップデートしています。

若者にお勧めしたい本

ジェーン・エア

シャーロット・ブロンテ/訳書多数

まとまった読書時間が作れ、徹夜してぶっつづけで本を読むことができるのが若者です。ここで挙げているのは、私の乏しい読書体験から判断して、マジョリティーを惹きつけるであろう海外長編小説です(私自身はまた別に好きな長編小説があるのですが)。

赤と黒

スタンダール/訳書多数

もう一冊挙げると、『赤と黒』ということになるでしょう。作家の故丸谷才一(1925-2012)がとあるネットのインタヴューで、登場人物に自分を重ねられるかどうかで自分にとっての好きな小説を判断すればいいというようなことを言っていた記憶がありますが、私の判断基準もまさにそれです(ちなみに、「登場人物」には『源氏物語』の「語り手」のような「人物」も含まれえます)。実を言うと、ジェーン・エアも、『赤と黒』のジュリアン・ソレルもその意味ではあまり好きではないのでが、何故か印象に残っている人物です。将来的には、この謎を解明したいですね(笑)。

自分の研究に関連して紹介したい本

競争法ガイド

デビッド・ガーバー(著)、白石忠志(訳)/東京大学出版会

市場における競争を企業が制限しようとする行為に対する法体系である「競争法」については、なかなか一般レヴェル向けに分かりやすく書かれた書籍が存在していませんが、最近出版された本書は、それに応える内容となっています。「競争法」はその性質上、経済学とも深く関わり、また、私自身は経済学の研究者ですが、本書が、経済学の内容を前提としていない点に、とりわけ感銘を受けました。

データとモデルの実践ミクロ経済学 ジェンダー・プラットフォーム・自民党

安達貴教/慶應義塾大学出版会

本年9月以降に刊行予定の自著です。恥ずかしながらも、出版社の営業努力に応えるために、挙げさせていただきます。私が応用ミクロ経済学で行ってきた研究の紹介を通じて、現代の経済学の雰囲気を一般向けに解説した内容となっています。

ご質問への回答

イベント時にご要望の多かった、「自分の質問への答えが聞きたかった!」との声にお応えし、安達先生から回答をいただきました。
いただいたご質問は少し表現を変えている場合がございます、ご了承ください。

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