Research Support
SPIRITS

日本・ペルー・サウジアラビア高速太陽爆発監視システムの構築とその活用

研究スローガン

国際太陽観測ネットワークの充実により太陽爆発現象の国際共同研究を展開

キーワード

太陽物理学、超高層大気物理学、宇宙天気研究、プロミネンス噴出、地上観測ネットワーク

研究背景および目的

理学研究科・附属天文台では、太陽が地球周辺環境に与える影響を明かにするため、主に太陽の爆発現象を24時間監視し続けることを目的として、複数の海外適地に、太陽から爆発噴出したガスの速度を3次元的に測定できる特徴的な太陽観測望遠鏡を設置し活用する、国際観測ネットワーク事業(CHAIN project)を以前から推進してきている。当SPIRITSでは、日本、ペルー、サウジアラビアの各観測所において、測定可能な爆発速度の上限を大幅に広げるための装置拡充を行ない、太陽の爆発が周囲にもたらす影響について国際共同研究を推進することを目的としている。

成果の要約

図1に示すように、ペルーやサウジアラビアの観測所においては、既存の太陽分光器を改良することにより、より高速な爆発現象を追跡できるように計画した。ペルーについては、無事にその改良が完了し、現地で学生や若手研究者への観測・データ解析講習なども実施した。一方、サウジアラビアでは現地大学所有の既存設備に故障が見つかり、分光器の活用までには至らなかったため、従来のフレア監視望遠鏡のみで観測を継続。また、この間にペルー、日本で1回ずつ、シンポジウムとデータ解析ワークショップを開催して(図2)国際共同研究の推進を図り、新たな外国人学生を得ることもできた。さらに各国の大学において、研究協力協定に関する会談も行ない、締結に向けての合意を得るに至っている。

今後の展望

今後も、学内外を問わず資金の調達に努め、ペルー国立イカ大学やキングサウド大学との研究協力協定の締結を完了させ、国際共同研究の推進を継続するとともに、今回実現に至らなかったキングサウド大学の太陽分光器活用について、引き続き実現を目指し、新たに共同研究者となったペルーの学生が京都大学大学院への留学を希望しているため、受け入れのための支援もしていきたい。

関連写真・図

(図1)日本・ペルー・サウジアラビア 高速太陽爆発監視システムの構成
(図2)ペルーと日本で開催したシンポジウムとデータ解析ワークショップ

共同研究機関

ペルー国立イカ大学、ペルー国立中央大学、ペルー地球物理学研究所、キングサウド大学

代表者情報

上野 悟

・代表者氏名:上野 悟
・所属部局名:理学研究科
・自己紹介:飛騨天文台・助教。2006年に立ち上げられた同天文台が主導するCHAINプロジェクトの実務を当初より担当。飛騨天文台からペルーへのフレア監視望遠鏡の移設、サウジアラビアでの新規フレア監視望遠鏡の建設支援などを行なってきた。
・関連URL:
http://researchmap.jp/read0193111
http://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~ueno/
http://twitter.com/ueno_at_hidaobs