分岐鎖アルコール生産向上に向けたハイスループット・バイオアッセイ法の確立
研究スローガン
センサー細胞によりバイオによる物質生産を評価して選抜する
キーワード
ゲノムワイドスクリーニング、アルコール耐性、バイオアッセイ、共培養、イソブタノール
研究背景および目的
循環型社会の実現に向け、高効率に有用物質生産を行う微生物をいかにして用意するかが重要である。次世代燃料として期待されるイソブタノールに関しては、高い生産能を示す細胞を網羅的に選抜する方法がないため、開発戦略が限定され、その進展を妨げる要因のひとつになっている。本プロジェクトでは高価な分析機器を必要とせず、イソブタノール高生産細胞を効率的に選抜する新規バイオアッセイ法の確立を目指した。
成果の要約
イソブタノール存在下で大きな生育阻害を示す一方、エタノールでは生育阻害を起こさない酵母株を同定した。センサー細胞として本酵母の生育を調べることでイソブタノール濃度を見積もることができる。同時に、イソブタノールなどの分岐鎖アルコール特異的に耐性を示すといった興味深い特徴をもつ酵母株を同定した。この耐性株にてイソブタノール生産を行ったところ、生産量を大きく向上させることに成功した。さらに耐性機構の一端も明らかにした。また本プロジェクトを通じて、国際ネットワークを拡大・深化させることができた。
今後の展望
構築したセンサー細胞を用いてハイスループットにスクリーニングすることで、イソブタノール生産能をさらに向上させた酵母を作製していきたい。また、細胞が分岐鎖アルコールを認識する機構についても明らかにしていきたい。
関連写真・図
共同研究機関
マサチューセッツ工科大学、ホワイトヘッド生物医学研究所、プリンストン大学
代表者情報
・代表者氏名:黒田 浩一
・所属部局名:農学研究科
・自己紹介:京都大学博士(工学)。生命現象の理解、新規バイオツールの開発、有用微生物の創出に取り組んでいます。
・関連URL:
http://www.tenko.kais.kyoto-u.ac.jp/