Research Support
SPIRITS

農業に起因する遺伝子汚染とその対応策に関する国際コンソーシアムの結成

研究スローガン

森林微生物の研究を通じて環境と人類の未来に貢献したい

キーワード

木材腐朽菌、森林バイオマス、遺伝子汚染、ゲノム工学

研究背景および目的

「遺伝子汚染」は、種の遺伝的多様性を棄損し、自然界における遺伝的資源の豊かさ、ひいては種の多様性を著しく低下させます。ペットなどとして持ち込まれた外来生物との交雑による我が国固有種の駆逐等が取り上げられる事も多いですが、実際には農業における大規模栽培により、野生の種における遺伝的な多様性が失われることが地球規模で頻発している事が予想されます。農業に起因する遺伝子汚染の現状について世界的な観点で客観的に把握し、有効な対策を打つ必要があります。

成果の要約

食用担子菌類をモデルとした遺伝子汚染の実態調査を目指して、14カ国のべ132人の出席者を集めて二回の国際ワークショップを開催し、この問題に対処する為の国際コンソーシアムを立ち上げました。また、ゲノム編集技術を用いて、遺伝子汚染を起こさない品種の育種にも成功しました。これらの成果は、国内外の学会で数多く発表され、3件の賞を受賞し、科研費、二国間交流事業などの新たな外部資金の獲得に結びつきました。

今後の展望

今回形成されたコンソーシアムにより世界規模で遺伝子汚染の解析を進めて行きます。また、10月より開始される2件の国際交流プログラムにより、新たに見つかった研究課題についても共同研究を推進していく予定です。

関連写真・図

第1回国際ワークショップ(2018年 於上海)の参加者達
会場では、活発な質疑が行われた

共同研究機関

上海農業科学院、吉林農業大学、中国農業科学院(中国)、農村振興局、慶尚大学校(韓国)、ワーゲニンゲン大学(オランダ)、ヘブライ大学(イスラエル)、生物学研究センター(ハンガリー)、チェンマイ大学、メイジョウ大学、メイファールアン大学(タイ)、クラーク大学(米国)、エレバン国立大学(アルメニア)、ジョージア農業大学(ジョージア)他

代表者情報

本田 与一

・代表者氏名:本田 与一
・所属部局名:農学研究科
・自己紹介:京都大学大学院農学研究科農芸化学専攻修了。オックスフォード大学客員研究員、生存圏研究所准教授などを経て、2012年から農学研究科教授。分子遺伝学的な手法を用いて木材腐朽菌の基礎と応用科学に挑んでいる。趣味は旅行。
・関連URL等:http://researchmap.jp/yoichihonda