Research Support
SPIRITS

分子から個体までを一貫する記憶研究の国際拠点

研究スローガン

記憶形成の仕組みを分子から個体まで統合的に理解する

キーワード

記憶、シナプス、シナプス可塑性、相分離

共同研究機関

香港科学技術大学

研究背景および目的

記憶形成の研究は分子から個体まで幅広く行われているが、それぞれの研究を矛盾なく統合する試みは進んでいない。そこで神経細胞における分子の動態を専門にして画期的な発見をしている香港科技大グループと神経細胞の形態と神経ネットワークに注目している京都大学グループの知識・技術を統合し、シームレスな記憶研究を推進し記憶形成の本質を理解する。

成果の要約

香港科技大との共同研究により、学習依存的に起こるシナプス内でのタンパク質集合体の形成がシナプスの形態と機能を調節し神経ネットワークを形成する記憶形成の本質であることが明らかになり、神経科学の最高峰であるNature Neuroscience誌にて発表した。この新しいコンセプトをさらに追及しようと、仏ボルドー大学をはじめとした国際・国内の記憶研究の新たなネットワークが形成された。

今後の展望

今回発見したタンパク質の集合体は液相分離と呼ばれるユニークな物性を持つ。今後はこの性質が記憶形成に果たす意義を詳細に記述するとともにこれに参加するタンパク質を同定するなど記憶形成の本質をより深く理解したい。

関連写真・図

学習によるシナプス内のタンパク質集合体形成
AMPA型グルタミン酸受容体(赤)とNMDA型グルタミン酸受容体(緑)の活性型CaMKIIによる液相内での分離

代表者情報

林康紀

代表者氏名:林康紀
所属部局名:医学研究科
自己紹介:京都大学医学部卒業。同大学院修了後、コールドスプリングハーバー研究所を経て理研-MIT神経科学研究センターにて独立。理研BSIチームリーダーを経て2016年より現職。記憶の分子基盤と神経回路システムに興味を持っている。趣味:鉄道旅行
関連URL:http://glutamate.med.kyoto-u.ac.jp