京都大学アカデミックデイ2015

三国時代前夜:後漢王朝崩壊に至る過程

研究者からの一言:約2000年前の皇帝のオカンのことを調べてます。

三国時代の淵源となった後漢王朝崩壊の過程について考える。後漢政治を支配した宦官や外戚が、皇帝を中心とする王権にどのような影響を及ぼし、王朝を滅亡させたのか。

出展代表者

文学研究科 歴史文化学専攻 東洋史学専修
 平松 明日香 日本学術振興会特別研究員(PD) 

参加者

文学研究科
 平松 明日香 日本学術振興会特別研究員(PD) 
 野口 優 非常勤講師

関連URL

http://www.bun.kyoto-u.ac.jp/oriental_history/oh-top_page/

来場者より

研究の大変さを話してくれたで賞
いますぐ小説化してほしいで賞
ハーレムって大変で賞
文系的ブースもあるとホッとした賞
よくわかりました賞

アカデミックデイを経ての感想

今回初出展させていただきました。予想外に大勢の来場者の方々に見ていただくことができ、驚きました。専門外の方に伝えることは、ほとんど初めての経験でしたが、非常に得難い経験となりました。他の研究発表と比べ拙い発表になってしまったかもしれませんが、来場者の方々の熱心な姿勢に励まされ、楽しむことができました。来場者の皆様との対話の中で、今後の私自身の課題もより明確に見えるとともに、社会への研究成果の公開に対する責任を強く自覚することができました。

 また、文系理系を問わず、他の分野に携わる方々と交流することによって、今後の研究遂行に大きな刺激を受けました。今後も機会があれば参加させてもらいたいと思います。最後になりますが、来場者及びスタッフの方々に御礼申し上げます。

 (平松 明日香)  

フォトギャラリー

研究者の本棚

本出展の参加研究者がお勧めする本をご紹介。

今の仕事(研究、進路)を選ぶきっかけになった本

木簡・竹簡の語る中国古代:書記の文化史

冨谷至 著 / 岩波書店、2003年(2014年増刷)

中国古代の甲骨や青銅器など書写材料の変遷を論じ、特に漢代で行政文書で用いられた竹簡について簡明に論じられています。発表分担者は学部三回生の時にこの本を読み、中国古代史のうち、竹簡を史料として用いた研究を志し、今に至るまでその研究を続けています。発表分担者の研究・進路に最も大きな影響を与えた本の一つです。

取り扱い: 京都大学図書館/ 京都府立図書館

シルクロード 絲綢之路 第三巻幻の楼蘭・黒水城 ローラン・カラホト

井上靖 ほか 著 / 日本放送出版協会、1980年

20世紀初頭、列強諸国は中央アジアにこぞって探検隊を派遣し、非常に多くの史料を収集するに至りました。発表分担者は中学時代にNHKのシルクロードシリーズを視聴したのですが、特に西夏の都市、黒水城の落城とそれにまつわる人物の悲哀を描いた回が印象的でした。問題点を指摘されることもありますが、シルクロードロマンを描いたこの本は、中国史に興味を懐いた原点として紹介しておきたい本ではあります。

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今ハマっている本(誰かとこの本について話したい)

支那の体臭

後藤朝太郎 著 / バジリコ、2013年

戦前の日本で、中国の大衆文化に興味を持ち、中国大陸津々浦々を旅してまわった一人の研究者がいました。中国の銭湯体験、尼寺での接待、中国宿での宿泊などなど、一般の旅行者ではとても回れないようなマイナーな場所を次々と紹介してくれています。それも、学術研究などという固い視点ではなく、著者が自分の興味と好奇心を原動力に書いているためか、非常に読みやすいです。

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若者にお勧めしたい本

中国史

宮崎市定 著 / 岩波書店、2015年再版

これから中国史を学ぶ若者のために書かれた概説書です。中国史を古代・中世・近世・最近世(近代)と四つの時代に区分し、各時代の特質を鋭く描き出しています。中国史の全時代を研究し、大きな業績を残した宮崎博士にしか書くことのできない不朽の中国通史の概説書だと思います。冒頭の時代区分に関する説明は、中国史のみならず、日本史・西洋史にもその範囲が及び、歴史学に興味を持つ人に第一に読むのを勧められる本です。

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クビライの挑戦:モンゴルによる世界史の大転回

杉山正明 著 / 講談社学術文庫、2010年

世界史の授業で、モンゴルは残虐非道で非文明的な帝国であったと教わりました。しかし、杉山先生の本を読んで、モンゴル帝国に対する印象が鮮やかに一変したことを覚えています。杉山先生は、モンゴル帝国について、数多くの著作を書かれていますが、その中でもここでは、特に入手しやすく、また先生から直接もらったという縁で個人的に思い入れのあるこの本を推薦致します。

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科挙―中国の試験地獄

宮崎市定 著 / 中公新書、1963年

歴代の中国王朝で、最も重要な制度の一つが、役人を選抜するための制度、つまり官吏登用制度です。中国では、千年以上にわたって、科挙と呼ばれる筆記試験によって、役人を選抜してきました。科挙は、王朝の運営に必要な役人を選抜するだけでなく、受験者側もまた一族の繁栄、免税特権獲得の為に熱心に受験しました。宮崎博士は、中国の受験地獄を招いた科挙制度の実態を鮮やかに描き出しています。中国史に興味のある皆様にお勧めです。

取り扱い: 京都大学図書館/ 京都府立図書館

自分の研究に関連して紹介したい本

宦官―側近政治の構造

三田村泰助 著 / 中公新書、1963年

宦官とは、皇帝のプライベートに仕えるため、意図的に男性機能を喪失させられた人間の事です。皇帝の最も身近に控えていたため、歴史上何度も暗躍し、時には皇帝・皇后の廃立に関わり、国家滅亡の原因をつくることもありました。この本は、宦官が大きな影響力を持った漢・唐・明などの時代に特にスポットを当て、彼らがどのようにして巨大な権力を振るったのかをわかりやすく描いています。 

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海のかなたのローマ帝国:古代ローマとブリテン島

南川高志 著 / 岩波書店、2003年

漢代とほぼ同時代にヨーロッパで繁栄していた帝国が、ローマ帝国です。本書は、ローマ帝国の辺境である現在のイギリスでローマ帝国がどのような統治を行ったのか、その統治の内実を鮮やかに、そして簡明に描き出しています。また、考古学と歴史学との関係や、古代史と現在の歴史がいかに関係するのかという、興味のある地域や時代を問わず、歴史学という学問を考えてみる上で非常に重要な問いを投げかけてくれます。

取り扱い: 京都大学図書館/ 京都府立図書館

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