Behind Kyoto University's Research
ドキュメンタリー
Vol.44

野生動物とヒトの関わり方を問い直し、人々の意識を変えていきたい。「ヒトと動物の共存する未来のために」

野生動物研究センター 助教
徳山 奈帆子

くすのき・125

京都大学創立125周年記念事業の一つとして設立された学内ファンド*「くすのき・125」。このファンドは、既存の価値観にとらわれない自由な発想で、次の125年に向けて「調和した地球社会のビジョン」を自ら描き、その実現に向けて独創的な研究に挑戦する次世代の研究者を3年間支援するというものだ。
*「学内ファンド」とは、京都大学がめざす目標に向けて、京都大学が持つ資金を学内の教職員等に提供する制度のことです。

「ヒトと動物の共存する未来のために」というテーマで2021年度に採択された野生動物研究センターの徳山奈帆子先生は、チンパンジーと並んでヒトに最も近い類人猿であるボノボを研究するかたわら、密猟や生息地破壊に直面する霊長類を救うための保全・啓発活動にも取り組んでいる。徳山先生が考える、ヒトと野生動物の共存の可能性とは? メッセージ動画とインタビューで伺った。

メスが強くて平和的なボノボの社会に魅せられて。

まずは徳山先生のご専門の研究について教えてください。

「私は霊長類学が専門で、主に大型類人猿の社会行動の研究に取り組んでいます。大型類人猿といえばヒトと進化的に最も近縁なチンパンジーがよく知られていますが、私が研究対象にしているのはボノボという、チンパンジーと近縁の類人猿です」

ボノボとチンパンジーはどんなところが違うのでしょうか?

「ウガンダ、タンザニア、カメルーンなどアフリカ大陸の各国に生息しているチンパンジーに対して、ボノボはコンゴ民主共和国だけに生息しています。両者とも基本的な生態はよく似ているのですが、社会のあり方に大きな違いがあります。チンパンジーは集団内でオスが優位で他のグループとの関係は敵対的である一方、ボノボは集団内でメスが優位性を示し、集団間の関係は融和的といわれています。また、挨拶など社会的行動として性的接触を用いるのもボノボの特徴です。

ボノボの集団の中でなぜメスが強いのかというと、メス同士が協力するからなんです。例えば、オスが攻撃的な行動を取ると、メスが2頭、3頭と集まってそのオスに反撃します。こうした行動はチンパンジーの社会ではあまり見られないものです。チンパンジーもボノボもオスが集団に残りメスが出ていく父系社会なので、集団内のメス同士には血縁関係はありません。ヒト以外の動物では、血縁関係がない個体同士が協力関係を築くことはごく稀で、メス同士が協力してオスに対抗するというボノボの習性はとてもユニークだといえます。私は、こうしたボノボのメス同士の関係が集団内でのメスの社会的地位を上げ、結果として融和的な社会につながっているのではないか……と考えて、メス間関係に注目して研究に取り組んでいます」

コンゴ民主共和国・ルオー学術保護区に生息するボノボ

チンパンジーなどの大型類人猿は、遺伝的に私たち人間に最も近い動物だと言われていますが、ボノボを研究することにはどんな意義があるのでしょうか?

「進化の過程では500~700万年前にチンパンジーとボノボの共通祖先とヒトとが分かれ、100~200万年前にチンパンジーとボノボが分かれたとされています。これまで、チンパンジーが敵対的な社会をつくることを根拠として、『ヒトにとって争いは本性なのだ』とする考え方もありました。しかし、チンパンジーと同程度にヒトと近縁なボノボが平和的な社会を築いているところを見てみると、一概にそうとはいえないことがわかります。ヒトとチンパンジー、ボノボの三者を比較することで、私たち自身についてより深く理解するためのヒントを得ることができるのです」

ボノボは人間を知る上でチンパンジーと同じくらい重要な研究対象なんですね。徳山先生がボノボに関心を持たれた経緯を教えてください。

「小さい頃から動物のドキュメンタリー番組を観たり本を読んだりするのが好きで、異国に行って異文化の中で奮闘するフィールドワーカーに憧れたり、『ドリトル先生アフリカゆき』という児童文学を読んでアフリカに興味を抱いたりしていました。もう一方で興味を惹かれたのは、集団で生きる動物でした。ずっと集団で一緒にいて嫌にならないのだろうか、どうやって動物が集団の中でうまくやっているのだろうということに疑問を持ちました。次第にこの2つを併せ持つ、アフリカでの大型類人猿研究に関心を持つようになりました。それで霊長類研究で世界的に有名な京都大学に進学したのです。

最初はチンパンジーを研究したいと思っていたのですが、学部3年生のときに指導教員の古市剛史先生がボノボの研究を勧めてくださったんです。実は高校生のときにボノボ研究のパイオニアである加納隆至先生の『最後の類人猿』という本を読んでいて、ボノボについてのなんとなくのイメージは持っていました。しかし『チンパンジーの研究は進んできているけど、ボノボはまだまだわかっていないことがたくさん広がっているよ』という古市先生の言葉を聞いて改めて興味を惹かれました。

その後、学部4年生のときにチンパンジーを、修士1年生のときにボノボをフィールドで観察する機会を得ました。実際に自分の目で両者を比較してみると、オスが乱暴に振る舞うチンパンジーの社会に比べて、メスたちの協力によって維持されているボノボの融和的な社会はとても魅力的に見えました。それで、ボノボのメスたちの関係を研究したいと心に決めたんです。

こうした経緯でボノボの研究をはじめたのですが、そこで知ったのは、絶滅危惧種であるボノボの保全が大きな課題になっていることでした。生息地破壊や密猟からボノボを守る取り組みが必要とされているのです。私たち霊長類学者は、そうした保全活動にも最前線で取り組んでいます。霊長類学の研究では集団を構成する一個体ずつに名前をつけて、ひとつの集団を何年も、何十年も観察し続けます。その地でのボノボや人びととのお付き合いが長く続きますので、息の長い保全活動ができるのです。それに、対象がいなくなれば研究もできなくなってしまう、という側面ももちろんあります」

それが今回、くすのき・125で取り組まれるテーマにつながっているのですね。

樹上のボノボを観察する徳山先生と現地アシスタント

野生動物と人間の関係を問い直すとき

くすのき・125では、125年後に実現させたい調和した地球社会のビジョンを伺っています。徳山先生のビジョンをお聞かせください。

「私はボノボの生息地で研究とともに保全活動にも取り組んできたのですが、ここ3年ほどはコロナ禍の影響で渡航することができませんでした。フィールドから遠ざかっている間に日本国内や世界で野生動物が置かれている現状を知る機会が増えて、人間と自然との関係について改めて考えたのが今回のビジョンです。

振り返れば、これまでの125年は人間が動植物を無秩序に消費してきた歴史といえるでしょう。IUCN(国際自然連合)がまとめただけでも、現在3万2000種以上が絶滅の危機にあるとされています。この数値は生息状況が分かっている種だけの数ですので、実態はその何十倍に及ぶかもしれません。その一方で、山で増えすぎた野生生物が畑に被害を与えたり、新型コロナウイルスのような野生動物由来の恐ろしい感染症がまん延したりと、自然のバランスが崩れたことで人間社会も危機にさらされています。このままでは、これから125年の間にほとんどの動植物が絶滅し、自然からの恵みを得られない社会になってしまいます。

こうした危機感のもとで、近年はSDGsや『ワンヘルス』という考え方が生まれ、野生動物を守ることは人間社会を持続する上でも欠かせないことだという認識が徐々に広がってきました。さらに、動物行動学や動物心理学といった研究分野が発展したことで、ヒトより“下等”だとみなされていた生物に多様な能力が備わっていることがわかってきて、ヒトと動物を区切っていた定義が崩れつつあります。このように認識が改められるなかで、人間と動物の関わり方も変わっていかなければなりません。調和した地球社会を実現するためには、学術分野横断的に研究を進めて、野生動物と人間双方が互いに与えあうメリット・デメリットを見極め、共存の道を探っていくことが必要です」

人間のあらゆる営みが自然環境に影響を与えることが明らかになってきた今、人間と野生動物の関係を見直すべきときが来ているのですね。徳山先生はこの問題に対してどのようにアプローチしたいと考えておられますか?

「私は霊長類学者として、とくに霊長類と人間が良好な関係を築くことに貢献したいです。世界の霊長類をめぐる現状は大変厳しいのですが、霊長類が幸せに暮らせる地球社会を実現できるように、野生動物の生息地と日本それぞれで人々に働きかけていきたいと考えています」

コンゴでも日本でも、人々の認識が霊長類を危機に晒している

くすのき・125で取り組まれる活動について教えてください。

「まずは、ボノボの生息地であるコンゴ民主共和国のルオー学術保護区での活動を考えています。現在、ボノボの生息数は1万から5万頭程度と推定されています。最も多い見積もりでも、東京ドームの収容人数より少ないのです。生息地である森林が破壊されたり、食肉用やペットとして密猟されたりすることでその数は減り続けています。私たち研究者は現地で研究に取り組みながら、住民や行政と対話を重ねて保全活動を続けてきました。

多くの国立公園では狩猟採集といった人間活動が禁止されていますが、ルオー学術保護区では銃を使用しないなど一定の制限の元で活動が認められています。保護区内にはワンバという村があって、人々が伝統的な方法で森林を利用しながらボノボとの共存を模索しています。村の人々は森の動植物に非常に詳しく、森やボノボをとても大切に思っています。しかし、森が身近でありすぎるからこそ、保全という観点で見ればその方法が誤っていることもあります。『動物はいくらでもいるから』と野生動物を制限なく獲ってしまったり、『すぐに生えてくるから』と人間の手が入っていない貴重な一次林を伐採してしまったりと、無自覚に生態系を危機に追いやってしまっているのです。

地域住民と一緒になってそうした意識を変えつつ、ボノボをはじめとする野生動物と共存し、森林資源を持続的に利用できる方法を模索していきたいと思っています。その一つとして、野生動物の狩猟を減らすために、代替タンパク源として家畜の飼育を促進するプロジェクトも考えています」

ワンバ村の人々との交流の様子

直接的に森林の保全につながることから現地の人々の暮らしを改善することまで、保全のためにはさまざまなアプローチが必要なのですね。他にはどんな活動を考えていらっしゃいますか?

「コンゴだけでなく、日本でできることにも取り組みたいと考えています。日本には動物が好きな人が多いですよね。ですが、野生動物との適切な関わり方はまだまだ社会に浸透しておらず、さまざまな問題が起こっています。私がとくに注目しているのは、小型霊長類の密輸とペット化という問題です。

日本では、テレビ番組などの影響で『エキゾチックアニマル』と呼ばれる珍しい野生動物がペットとして人気を博しています。しかしその裏では、日本向けに高値で取引される野生動物の密猟・密輸が跡を絶ちません。実際に、野生動物の生息地では森林破壊や食糧としての密猟と並んで、ペットとしての密猟が大きな問題になっており、WWF(世界自然保護基金)はそうした野生動物の一大マーケットとして日本を名指しで批判しています。

そのようにペットとなった野生動物が、人間と共に幸せに暮らすことができるとは言えません。犬や猫といった動物は、何千年、何万年という長い時間をかけて人と共に暮らすよう進化してきて、昼行性や低い攻撃性、なつきやすい性質などの特性をもつようになりました。野生動物はそのような進化を経ていないため、人と暮らすために適した行動特性や性質を備えていないことが多いのです。病気になったときに診療できる獣医さんも非常に限られています。とくにスローロリス、ショウガラゴ、マーモセットといった小型の霊長類はそのかわいらしさから人気が高いのですが、社会性や食性が細分化された霊長類を一般家庭で健康に飼育することはほぼ不可能です。また、これらの小型類人猿の輸入は感染症法で全面禁止されているのですが、国内繁殖個体と偽った密輸個体や、密輸した個体に産ませた国内繁殖個体が多く出回っています」

種の保全の観点でも動物福祉の観点でも、ペットブームには大きな問題があるのですね。

「メディアが発する『人間はどんな動物とも心を通わせ、一緒に暮らすことができる』という誤ったイメージを多くの人がそのまま受け取っていることが大きな問題です。こうした問題に霊長類学者はこれまであまり目を向けてきませんでしたが、もはや目を背けてはいられない状態です。根本的には法規制を強めるなどの対策が必要ですが、私は霊長類学者として、ペットとして輸入される野生動物の実態調査や啓発活動を中心に取り組みたいと考えています」

密輸が問題となっている小型霊長類、ショウガラゴ(左)とスローロリス(右)提供:山梨裕美

人間と野生動物のより良い関係を求めて

くすのき・125の採択期間の3年間では、具体的にどんなことに取り組まれる予定でしょうか?

「昨年度の取り組みになりますが、京都市動物園と日本モンキーセンターが協力して、スローロリスの違法取引問題や動物福祉についてマンガで学べる教材をつくったということで、高大連携事業の一環で、7名の高校生とともに教材の効果測定調査を行いました。

調査ではマンガ形式と、同様の内容についての長い文章、そして短い文章の3種類の教材を用意して大阪府の高校生約1000人に読んでもらい、その前後に霊長類のペット飼育に関するさまざまな質問に答えてもらいました。教材を読む前にはほとんどの生徒が『霊長類をペットとすることに問題はない』と答えましたが、教材を読んだ後は何割かの生徒が『問題がある』と答えました。なかでも、最も効果が高かったのは長文の教材でした。実はマンガ形式が最も効果が高いと予想していたのですが、異なる結果が出たことで啓発活動は一筋縄ではいかないなと思いました。一連の過程をともにした高校生とは、その後の学会発表も一緒に行って賞もいただきましたし、学会誌に掲載することもできました。こうした活動を広げて、今後もさらに調査・啓発に取り組んでいきたいと考えています。

それに加えて、京都市動物園の研究員の山梨裕美さんと共同で、日本に密輸されてくる野生動物の実態を調査したいと考えています。日本で人気のエキゾチックアニマルは、多くの場合タイを中継地として日本に密輸されていることがわかっています。しかし、空港の税関で発覚するなど密輸件数として上がってくるケースは氷山の一角に過ぎず、全体像ははっきりしていません。そこで私たちは、タイの税関で保護された動物の保護施設を視察して、野生動物がどこで捕獲されて、日本にどれくらいの規模で密輸されているのかといった実態の聞き取りを行う予定です」

高大連携事業で取り組んだ教材の効果測定で、分析手法について話し合っているところ。右から徳山先生、共同研究者の山梨裕美さん、高校生たち

コンゴでの活動も予定されているのでしょうか?

「2022年9月から11月にかけて、3年ぶりに現地に渡航することができました。中高等学校でのアンケート調査と、村で獣医を育てるプロジェクトを実施するためです。

アンケートでは、子どもたちがどれくらいボノボとの遭遇経験や知識を持っていて、それがボノボを守りたいという気持ちにどれくらい影響しているのかを調べました。現在分析の準備を行っている段階ですが、ボノボについて知ることが保全活動に良い影響を与えるのであれば、来年以降は子どもたちを対象にボノボを観察するツアーを行うなど、人とボノボのより良い関係をつくる取り組みを続けていきたいです。

また、村では鶏やヤギ、ブタといった家畜が、とくに管理されることもなく自由に歩き回っています。家畜が増えれば、タンパク源、現金収入源として野生動物を狩猟する必要性が減ります。そう思って家畜を増やすプロジェクトを行ったこともあるのですが、病気が流行って大量死してしまいうまくいきませんでした。今回は『長い目で見よう』と、家畜の健康管理のために村で獣医を育てるプロジェクトを立ち上げました。村の若者から志望者を募って試験を行い、2名に獣医学を学ぶための奨学金を支給しました。

この他にも長期的な展開として、人が森を利用することでボノボにどんな影響を与えるのかを調査したいと考えています。同じフィールドで文化人類学の研究者も活動しているのですが、彼らが調査している焼き畑の開墾状況のデータと、私たちが調査しているボノボの行動範囲のデータを重ね合わせれば、その相関関係がわかります。木を伐って畑にすることは一見ボノボの住み処を奪うことのように思えますが、適度な頻度・範囲での焼き畑利用は、むしろボノボの食料を増やすことにつながっている可能性もあります。人間の手がまったく入らない一次林よりも、人間の手が入った若い林の方が果物が実りやすく、ボノボがよく利用する草本類も多く生えるからです。この点は日本の里山とも似ていますね。

時間をかけて調査をしないことには正確なことはわかりませんが、人間の活動がボノボに与える負の側面だけでなく、正の側面も見出したいと思っています」

最後に、先生が考える人間と野生動物との適正な関係について教えてください。

「長年にわたって観察を続けていますので、私はボノボたちに愛着をもっています。赤ん坊のころから知っている個体が子どもを産むと、まるで姪っ子、甥っ子が生まれたような気分になります。ですが逆に、ボノボが私に対して愛情を示すような行動をとることはありません。ただ後ろをついてきてジロジロ見てくるもの、程度に思っているでしょう。コンゴではボノボの子どもを密猟してペットとして飼育しようとする人もいますが、安全に飼育できるのは5~6歳ぐらいまでで、それ以上成長すると力が強くなってくるので非常に危険です。なので小さな檻に閉じ込めて飼い殺しにされたり、売られて肉として食べられたりしてしまうのです。

スローロリスなどの小型霊長類も基本的には同じです。小さいので成長しても飼えてしまいますし、表情があまり変化しないので一見幸せそうに見えるかもしれませんが、どこかで無理が生じて病気やストレスを抱え込んでしまいます。たとえば、スローロリスがお腹をくすぐられて『ばんざい』をする動画がかわいらしいと話題になったことがあります。その仕草は、もっとくすぐって、と言っているように見えます。しかし実際は、スローロリスが両腕を上げる行動は危険を感じた時の防御姿勢なんです。動物にとってどんな状態が『よい』といえるのかという正しい知識をもつことが、動物との適正な関係を保つためには不可欠です。

日本では『動物愛護』という言葉をよく耳にします。実は動物愛護は、人間の感情に基づいた考え方です。かわいそう、かわいいという感情から、動物を大切にする愛護の考え方が日本では強く根付いています。そのように動物を大切に思う気持ちは大切ですが、科学的に動物を理解し、動物の身体・精神的な健康を追求する動物福祉とは似て非なるものです。私たちは人間と動物の間の絆という一見美しい幻想に心を動かされる一方で、情に訴えない科学的な事実からは目を背けてしまう傾向があります。欧米諸国では人々の間に動物福祉の考え方が浸透しつつあるのですが、日本が密輸大国のままなのは『動物を可愛がって愛していれば、その動物も幸せなのだ』という考えが根強くあるからではないでしょうか。

大枠はあれど、人と野生動物の適切な関係は、地域によっても、動物種によっても違います。各々のケースでしっかり検討を行うことが必要です。とはいえ、例えばワンバ村と日本とでは環境や人々の意識に違いはありますが、野生動物と人間との関係を考える上で根底となる問題は共通しています。だからどちらの場所でも、動物に対する理解を深める研究と、人々にとっての動物の価値や適切な関わり方を考える啓発活動の双方から、問題の解決に向けてアプローチしていくことができると考えています。人間と野生動物が適切な距離を保って、双方が幸せに暮らす社会のために、研究を通して少しでも貢献していければと思っています」

徳山 奈帆子(とくやま なほこ)

野生動物研究センター 助教

2016年、京都大学大学院理学研究科 博士課程単位取得退学。博士(理学)。日本学術振興会特別研究員(SPD)、京都大学霊長類研究所などを経て、2022年より現職。専門は霊長類学・行動生態学。コンゴ民主共和国・ルオー保護区にてボノボの調査を行う。主な研究テーマは、ボノボの集団内におけるメス間関係や集団間の社会関係。調査と並行して、ボノボの生息域の保全活動や、日本国内での啓発活動などにも幅広く取り組む。

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