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SPIRITS

インドネシアにおける個人主義化がうつ病の発症におよぼす影響の遺伝・疫学研究

研究スローガン

インドネシアのうつ病を進化医学と地域研究から明らかにする

キーワード

人類生態学、遺伝子文化共進化仮説、集団遺伝学、集団主義社会、個人主義社会

研究背景および目的

うつ病になりやすい遺伝子型は、アジアの集団主義的社会に多く、ヨーロッパの個人主義社会には少ないとされるが、前者でも良好な人間関係や社会資本に恵まれている限りむしろ精神状態は良好であるとされる。これは遺伝子が文化をつくり、文化が遺伝子をつくる、遺伝子文化共進化仮説の一つとなっている。ところがアジアが欧米化、個人主義化することで、この遺伝子型が改めてリスクとして注目されている。 インドネシアとの学術交流を深めることで、同国でのストレスやうつ病を、社会や文化の違いを考慮しながら遺伝疫学的に分析し、遺伝子型と個人主義化の影響を明らかにすることを目的とする。

成果の要約

インドネシアでは主たる共同研究機関であるハサヌディン大学の医学部5名、他学部・他大学6名、日本では京都大学4名、東京大学2名のチームを形成し、相互に訪問し、国際ワークショップを開催し、技術習得研修も行った。また慎重に立案された、ヒトゲノム解析も含む国際共同研究計画はインドネシア、京都大学、東京大学の3者の倫理委員会で承認された。日本側代表者はまだ若手であるが、国際チームを形成する経験を得ることができ、これを元に国内外の競争的外部資金に申請している。

今後の展望

環境や文化の多様性が豊かなインドネシアにおいて、他の病気についても遺伝子文化共進化仮説の観点から、医学・地域研究の国際共同研究を推進していく。

関連写真・図

プロジェクトのコンセプト
2018年1月に行われた共同研究会議の主要メンバー
インドネシア研究者が日本で実験手法を習得

代表者情報

古澤拓郎

・代表者氏名:古澤拓郎
・所属部局名:アジア・アフリカ地域研究研究科
・自己紹介:進化・適応の観点からインドネシアやソロモン諸島などでフィールドワークを行い、病気や生態環境と社会文化の多様性を研究している。博士(保健学)。専門は人類生態学、東南アジア地域研究。
・関連URL:
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/asia/members/seitai/古澤-拓郎/
http://takurof.tumblr.com/