食餌と成長・病態・恒常性との因果関係を解明する日英ネットワークの構築
研究スローガン
ショウジョウバエを用いて食餌と成長・病態・恒常性との因果関係を解明する
キーワード
食餌、成長、病態、恒常性、ショウジョウバエ
研究背景および目的
幼い個体が食餌から適切な栄養を摂取して健康な成体へと育ち、次世代を残すことは全ての生物種が存続する上で必須の道のりである。モデル生物・ショウジョウバエとその餌である出芽酵母を用いる日本と英国の研究者が連携し、食餌と、動物の成長、腫瘍の発生・進行・転移、あるいは恒常性(体温調節)との因果関係の解明に向けた国際ネットワークを構築する。そしてヒトと共通する普遍的な原理の発見を目指す。
成果の要約
日英の研究者や大学院生間で、密な相互交流が実現できた。特に、成長期にある個体が栄養成分のバランスの変化に適応する仕組み、栄養成分を腸で感知するセンサーの候補とその役割、共生細菌が体温調節に果たす役割、そして食餌・肥満とガンの悪性化やがん悪液質との関係について研究が進展した。開催したワークショップなどを通じて研究ネットワークがさらに拡大し、ユニット研究を対象とする研究費を獲得して、新たな共同研究を始動させることができた。
今後の展望
食餌と個体の成長や病態の因果関係を追究する研究にとどまらず、成長期での栄養環境(栄養履歴)が成熟した個体の生殖能力や老化などの後期のライフイベント、さらには次世代の栄養環境への適応にまで影響するメカニズムの研究へと発展させる。
関連写真・図
代表者情報
・代表者氏名:上村匡
・所属部局名:生命科学研究科
・自己紹介:京都大学大学院理学研究科修了(理学博士)、カリフォルニア大学サンフランシスコ研究員、京都大学理学部生物物理学教室助手、京都大学ウイルス研究所教授を経て、現職。遺伝子型プラス栄養環境をベースに、動物の一生を見渡す生命科学を目指そうとしています。
・関連URL:
http://www.cellpattern.lif.kyoto-u.ac.jp/
http://www.miguelaliagalab.com/news/