多孔性材料を搭載したマイクロロボットによる生体ガス分子デリバリー
研究スローガン
多孔性材料を搭載したマイクロロボットで生体分子を運搬する
キーワード
多孔性材料、マイクロロボット、マイクロ流路、薬剤運搬、多孔性金属錯体
研究背景および目的
本研究プロジェクトでは、生体内で機能するマイクロロボットの開発を行う。特に、細胞間情報伝達を担う小分子や、一酸化窒素(NO)及び一酸化炭素(CO)といった生体ガス分子を、ターゲット細胞まで運搬するマイクロロボットを作成することを目的としている。これら分子をロボットに載せるため、非常に小さなナノサイズの孔があいている多孔性材料をマイクロロボットに搭載する。これにより、狙った細胞に拡散しやすい薬剤分子を運搬することが可能となる。
成果の要約
本プロジェクトは学際融合研究を推進している京都大学アイセムスを中心とし、スイスのETH Zurich、オーストリアのTU Grazとの国際共同研究である。生体内で使用できるマイクロロボットを作成するため、合成チーム、搭載チーム、実証チームに分け融合研究を進めた結果、多孔性金属錯体を搭載したマイクロヘリカルコイルロボットの開発に成功し、磁場によるロボット操作、狙った細胞へのロボット移動を行うことに成功した。
今後の展望
今後は、光、温度、pHなどに応答して分子を放出する多孔性材料を開発し、マイクロロボットへ搭載することにより、狙った細胞の環境が変わった時に分子を放出するシステムの構築を目指す。また、様々な動きをするロボットと融合することで、動きに応答した分子放出を行うロボット開発を行う。
関連写真・図
共同研究機関
甲南大学、チューリッヒ工科大学、グラーツ工科大学
代表者情報
・代表者氏名:古川 修平
・所属部局名:高等研究院
・自己紹介:京都大学物質−細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)教授。専門は錯体材料化学、多孔性材料。2005年京都大学工学研究科博士後期課程終了。ベルギーカトリック大学ルーベン博士研究員、京都大学工学研究科特任助教、ERATO北川統合細孔プロジェクトグループリーダーを経て、2010年京都大学iCeMS准教授。2020年4月より現職。
・関連URL等:http://furukawa.icems.kyoto-u.ac.jp/