ウマの社会集団の空間配置と動きの同調に関する国際共同研究
研究スローガン
ウマの複雑な社会から社会性の進化を解明する
キーワード
社会性、集団ダイナミクス、協力と競合、進化、比較認知科学
研究背景および目的
人間の社会行動を形成する諸要素となる同調行動や集団意思決定メカニズムについて、野生および飼育下のウマを対象とした動物研究をおこない、その進化的基盤を探る。GPSやドローンなどの最新テクノロジーを用いて、野生および飼育下のウマにおける個体間の行動の同調や調整を定量的に調べ、社会行動の諸側面の系統発生的基盤を解明する。国内外の異分野研究者との交流を進め、生物学と工学および数理情報学を融合させた新しい学問分野の発展に寄与することを目指す。
成果の要約
国内外の4機関と学術交流協定を締結し、国際研究ネットワークを構築した。ヒトでみられる重層社会をウマ社会に見出すなど、革新的な成果を生み出している。査読付き英文学術論文を5本公表し、『生物の科学 遺伝』や『モンキー』といった一般向け科学誌にも積極的に寄稿した。国内外の研究者およびメディアからの注目度も高い。基盤Aなどの競争的外部資金獲得にもつながっている。
今後の展望
SPIRITSの支援を受けて整備した研究環境基盤を足掛かりに、より国際的な共同研究ネットワークの構築に邁進し、大型研究資金の獲得を目指す。研究データも蓄積されており、今後2年間ほどで英文学術論文を5-10本ほど公表できる見込みである。多種多様な動物に対象を拡げ、社会性の進化解明に向けた大型比較研究プロジェクトにつなげたい。
関連写真・図
共同研究機関
コインブラ大学、オックスフォード大学、パリ第三大学
代表者情報
・代表者氏名:山本 真也
・所属部局名:高等研究院
・自己紹介:認知研究とフィールドワークの両方を通して知性の進化の謎に取り組んでいます。進化の隣人であるチンパンジーとボノボ、ヒト社会の隣人とも言えるイヌとウマ、最近はネコやゾウなどにも研究対象を広げています。究極の研究テーマは「人間とは何か」を知ること。主なキーワードは、共感・他者理解・協力・文化・集団性。動物たちの心を通してヒトの本質を明らかにしたいと思っています。
・関連URL等:http://www.wrc.kyoto-u.ac.jp/members/shinya-yamamoto.html