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根治性と低侵襲・機能温存を両立した次世代胃がん治療センター構築

研究スローガン

根治性と低侵襲・機能温存を両立した次世代胃がん治療センター構想

キーワード

胃癌、根治性、低侵襲、機能温存

研究背景および目的

本プロジェクトでは、根治性と機能温存を両立させた低侵襲胃癌手術の確立を目指す。国立がん研究センターの統計では、胃癌は日本において罹患数第二位(2014年)、死亡数第三位(2017年)と上位を占めるがんである。現在の胃癌の標準治療は、リンパ節転移のないサイズの小さい粘膜内癌に対しては内視鏡的切除が行われるが、遠隔転移のない治癒切除可能な進行胃癌はリンパ節転移の有無にかかわらず、リンパ節郭清を伴う胃の2/3以上を切除する定型的胃切除術(幽門側胃切除・噴門側胃切除や胃全摘など)が行われる(胃癌治療ガイドライン第4版)。しかし胃は重要な消化器臓器であると同時に栄養吸収を司る内分泌臓器としての役割もあり、胃切除術後の患者は体重減少や貧血をきたし、生活の質(QOL)が大きく低下する。リンパ節転移のない進行胃癌は、正確な癌の局在、リンパ節転移の有無の診断ができれば局所切除で根治できる可能性があり、術後QOLの向上に寄与できると考えている。

成果の要約

本研究においては、国際的枠組みを重要視し、京都大学、山梨大学、アメリカのカリフォルニア大学サンディエゴ校、コロンビア大学と共同研究を行った。当初は胃癌の蛍光色素を用いた範囲診断、リンパ流ナビゲーションを計画していたが、これを消化管癌(食道癌、大腸癌)全体に拡張し、リンパ流ナビゲーションを用いた過不足無い低侵襲根治手術の確立を行った。

今後の展望

今後も手術支援ロボットを用いた低侵襲手術に蛍光標識色素の利用を加えたテーラーメイド手術の確立、その安全性・有効性の検証を続ける。さらに本プロジェクトにおいて構築した共同研究先と共に、低侵襲手術に直結する臨床応用を目指した消化管癌の基礎研究を追求する。

関連写真・図

従来の胃癌手術と我々の目指す胃癌手術
大腸癌マウスモデルにおける大腸癌の腫瘍局在の可視化

代表者情報

板谷 喜朗

代表者氏名:板谷 喜朗
所属部局名:医学部附属病院
自己紹介:京都大学消化管外科病院講師、専門分野は大腸癌の低侵襲手術、消化器癌の腫瘍微小環境。自らSurgeon Scientistを自称する、考える外科医。
関連URL:http://gisurg.kuhp.kyoto-u.ac.jp/