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SPIRITS

日本での人と野生動物の関係と森林の空洞化

研究スローガン

人と野生動物のよりよい関係を目指して

キーワード

空洞化、種子散布、ニホンザル、屋久島、種子島

研究背景および目的

世界的な霊長類学の調査地である屋久島と、ニホンザルが戦後まもなく絶滅した種子島を舞台に、よりよい人と野生動物の関係を築くことを最終的な目標に、さまざまな研究を展開した。ニホンザルの持つ種子散布などの生態系機能が、絶滅によって失われると、どんな変化が生じるのかという生態学的研究と、狩猟や農作物被害を通じて、人とニホンザルがどのような関係を持っているかについて、歴史的・現代的観点からの研究を推進した。

成果の要約

屋久島と種子島で調査地内のヤマモモ成木と実生の分布を網羅的に調べ、ニホンザルの有無が更新にどのように影響するかについての研究を展開した。霊長類学のパイオニアが残した野帳をもとに、1950年代の屋久島の狩猟活動をまとめた著作を発表するとともに、ニホンザルによる農作物被害の環境社会学的研究を行った。聞き取り調査をもとに、種子島でのニホンザル絶滅についての研究を行った。これらの研究を通じて、将来、文理融合型の人と自然の関係についての総合的研究を展開する基盤を構築した。

今後の展望

本研究を地理的にスケールアップし、森林の空洞化や、それを引き起こす人間活動についての分野融合型協働研究を、熱帯地域で推進する。霊長類学のパイオニアが残した、国内外での過去のフィールドワークの野帳や写真資料をデジタルアーカイブとして公開する。

関連写真・図

屋久島での種子散布の研究の調査地の視察。
霊長類学者、川村俊蔵の1952年の屋久島調査の野帳

代表者情報

半谷 吾郎

代表者氏名:半谷 吾郎
所属部局名:生態学研究センター
自己紹介:屋久島のニホンザルとボルネオの霊長類を主な研究対象に、採食生態学や個体群生態学的研究を推進。毎年夏に、屋久島でボランティアの学生を募ってニホンザルの個体数調査(ヤクザル調査隊)を実施している。

関連URL: https://www.ecology.kyoto-u.ac.jp/~hanya/index.html