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SPIRITS

ダークマターでつなぐ素粒子物理学とテラヘルツ工学:放射線計測と電波計測の融合

研究スローガン

素粒子実験手法と電波計測手法を組み合わせた広大な質量領域におけるダークマターの探索

キーワード

ダークマター、ダークフォトン、高エネルギー素粒子物理学、宇宙背景放射、ミリ波

研究背景および目的

銀河に存在する未知の物質「ダークマター」の正体を解明するべく、従来から探索されている超対称性粒子などの重い粒子に対する素粒子実験的なアプローチと、超軽量のダークマターを宇宙背景放射測定技術を応用した電波観測によって探索する手法とを組み合わせ、幅広い質量の探索領域を持つ研究を行う。

成果の要約

電波観測によるダークフォトン探索実験グループを立ち上げ、100 µeV の質量帯において世界最高となる探索感度の結果を出し、Physics Review Letters にて発表した。素粒子実験によるダークマター探索のグループを発展させ、さらなる感度向上に向けた研究を推進した。

今後の展望

電波観測において今回確立した手法を用いて、周波数帯域をさらに拡大させたダークフォトン探索を行う。素粒子実験側では、LHCの陽子衝突点から離れた位置に設置した検出器によるダークマター探索を発展させる。また、超対称性粒子に対するさらなる感度改善を目指して、2029年から開始する高輝度LHC実験に向けた新システムの開発を加速していく。

関連写真・図

今回得られた軽いダークマター(ダークフォトン)と通常光子の結合に対する制限を質量の関数として表す。

代表者情報

隅田 土詞

代表者氏名:隅田 土詞
所属部局名:理学研究科 物理学・宇宙物理学専攻
自己紹介:京都大学理学研究科の博士課程を修了後、欧州原子核機構(CERN)の研究員に。以降、大型ハドロン衝突型加速器(LHC)を用いた素粒子研究を行っている。最近ではミリ波技術を応用した暗黒物質探索研究に注力。

関連URL:https://inspirehep.net/authors/987165