Research Support
SPIRITS

細胞の形態と機能の分化を誘発する新たな動力学の創生

研究スローガン

シナプスを人工的に作り、神経細胞機能を操作する

キーワード

シナプス形成、記憶・学習、ナノ操作技術、ライブイメージング

研究背景および目的

多細胞生物では個体全体のシステムを構成・維持するために、遺伝的プログラムまたは外的環境因子により、細胞の形態や機能の分化が誘導される。これまで主に、遺伝子発現やホルモン等の液性因子から分化を誘導する分子機構が精力的に研究されてきた。その一方で、隣接する細胞や細胞外基質との結合を介して、分化誘導シグナルを受ける機構についても新たな知見が集まりつつある。本プロジェクトでは、細胞と細胞をつなぐ接着因子に着目して、神経細胞の形態や機能を大きく変化させる独自の技術確立を目指した。

成果の要約

欧州最大級の生物医学研究拠点であるフランシス・クリック研究所との国際共同研究により、ガラス面に接着因子をコートする技術でシナプス形成を誘導させ、細胞機能を操作する磁性ナノ粒子を単一細胞内へマイクロインジェクションするこれまでにない技術を確立した。そして競争的外部資金を獲得して、記憶・学習の脳機能に深く関与する神経伝達物質の放出・回収機構の解明に本技術を適用した。また、積極的に関連分野の海外研究者と交流して、研究代表者の昇任人事にもつなげた。

今後の展望

今後はSPIRITSで得られた知見・技術・人的ネットワークを活かして、他大学の国際型研究プログラムに参画して、プロジェクトマネジャー型研究リーダーとなることを目指します。

関連写真・図

本研究で明らかにしたい問い。細胞内外からの力学的操作により細胞の形態や機能は変わるのか?
細胞の形態変化例。異なる操作により、細胞の突端が扇型になる場合 (矢印)、または一方向に大きく伸長する場合 (破線) が観察できた。

代表者情報

田中 洋光

代表者氏名:田中 洋光
所属部局名:理学研究科
自己紹介:2012年、京都大学大学院理学研究科博士後期課程修了。2013年より現職。専門は神経科学。神経細胞間で情報伝達を行う部位であるシナプスに着目して、記憶・学習といった高次脳機能を司る分子機構の解明に取り組む。趣味は将棋・テニス・鉄道。

関連URL:/documentary/d042/
https://www.youtube.com/watch?v=auVHlAwIR6s